Pandasのread_csv
関数を使用して、CSVファイルからデータを読み込むことは頻繁に行われると思いますが、同じファイルストリームからread_csv
を複数回実行すると、2回目以降の読み込みでデータが得られないという問題が発生することがあります。
発生条件
この問題は主に、ファイルではなくファイルストリームやファイルライクオブジェクトをread_csv
関数に渡した場合に発生します。
例えば、Webアプリケーションフレームワークやデータ分析ツールでユーザーがアップロードしたCSVファイルを処理する際によく見られます。
Streamlit
やFlask
などのフレームワークでは、アップロードされたファイルはメモリ内でファイルライクオブジェクトとして扱われます。
read_csv
でこれらのオブジェクトからデータを読み込むと、ファイルポインタがファイルの末尾に移動するため、同じオブジェクトを再度読み込もうとしても、既にファイルの終わりに達しているためデータを読み込めません。
対処法
この問題の解決策は、2回目のread_csv
実行前にファイルポインタをファイルの先頭に戻すことです。
これは、ファイルライクオブジェクトのseek(0)
メソッドを使用して行います。
サンプルコード
以下は、Streamlit
でアップロードされたCSVファイルを複数回読み込む一般的な例です。
import streamlit as st
import pandas as pd
uploaded_file = st.file_uploader("ファイルをアップロードしてください", type="csv")
if uploaded_file is not None:
# 1回目の読み込み
df1 = pd.read_csv(uploaded_file)
st.write("最初の5行:", df1.head())
# ファイルポインタを先頭に戻す
uploaded_file.seek(0)
# 2回目の読み込み
df2 = pd.read_csv(uploaded_file)
st.write("データの要約統計量:", df2.describe())
このコードでは、最初にユーザーからアップロードされたファイルを読み込み、最初の5行を表示します。
その後、ファイルポインタをリセットし、同じファイルからデータを再度読み込み、要約統計量を表示します。
おわりに
Pandasのread_csv
を使用してファイルライクオブジェクトからデータを読み込む場合、複数回読み込みを行う際にはファイルポインタの位置に注意する必要があります。
ファイルポインタを適切にリセットすることで、この問題を簡単に解決できます。