Power BIやExcelを使う際、データ分析やデータ処理を効率的に進めるために、DAX(Data Analysis Expressions)とPower Queryという2つのツールがあります。
しかし、それぞれが何をするためのツールで、どのように使い分けるべきか、初心者の方には少しわかりにくいかもしれませんので、簡単に違いをまとめます。
DAXとPower Queryの基本的な違い
DAXとは?
DAX(Data Analysis Expressions)は、データを計算したり集計するための数式や関数の集まりです。
Excelの関数に似ていて、例えば「合計」や「平均」を計算するのに使います。DAXは、データを分析するために使われる言語です。
- DAXを使う場面
データの中で「どれくらい売れたのか?」や「特定の期間の売上を知りたい」といった具体的な質問に答えるために、計算を行うときに使います。 - 例
「今年の売上の合計はいくら?」といった質問に答えるためにDAXを使って合計を計算します。
Power Queryとは?
Power Queryは、データを「クレンジング」(整理)して、使いやすい形にするためのツールです。
外部から取り込んだデータ(例えば、インターネットからダウンロードしたデータや、CSVファイルなど)がバラバラであったり、余分な情報が含まれているときに、そのデータを整理して整えるために使います。
- Power Queryを使う場面
例えば「このデータにいらない情報があるから削除しよう」や「日付の形式がバラバラだから統一しよう」といった、データを整える作業が必要なときに使用します。 - 例
例えば、1月1日と書かれているデータが「01/01/2024」や「1-Jan-2024」とバラバラの場合、日付形式を統一します。
それぞれの使いどころ
DAXの役割:データの中で答えを探す
DAXは、すでに取り込んだデータを使って計算するために使用します。
これにより、例えば「過去3年間の売上平均を知りたい」など、データを元にした集計や計算を行います。
- いつ使う?
ExcelでSUM関数を使って数字を合計することとDAXを使うことは、タイミングも似ています。
データを集計したり、複雑な計算を行いたいときに使います。 - 例
売上データの表があるとします。
DAXを使って「全ての売上を足して合計金額を計算する」ことができます。
これは、次のようなDAXの数式でできます。Total Sales = SUM(Sales[SalesAmount])
この数式は、「Sales」という表の「SalesAmount」という列に入っている数字をすべて足し算してくれます。
Power Queryの役割:データをきれいにする
一方、Power Queryは、外部データを取り込み、使いやすい形にするためのツールです。データがバラバラで整理されていなかったり、使えないデータが含まれているとき、Power Queryを使って整えます。
- いつ使う?
例えば、オンラインからCSVファイルをダウンロードしたときに、余計な列があったり、データにエラーが含まれていることがあります。そんな時にPower Queryを使って、必要な部分だけを取り出したり、エラーを修正したりします。 - 例
たとえば、Excelに取り込んだデータに「空白の行」がたくさんあった場合、それを削除したいときにはPower Queryを使います。この作業はクリック操作で簡単にでき、スクリプトを書く必要はありません。
使い方のイメージ
DAXの使い方のイメージ
DAXを使うときは、データの分析が中心になります。
たとえば「このデータの合計や平均を計算したい」「特定の条件に基づいた集計をしたい」といった場面で役に立ちます。
Excelで関数を使って計算する感覚に近いです。
Power Queryの使い方のイメージ
Power Queryを使うときは、データの整理や修正がメインです。
例えば、データが複数のシートやファイルに分かれている場合、それらを1つにまとめたり、バラバラな日付形式を統一したりするのに役立ちます。
まとめ
- DAXは計算や集計のためのツール
DAXは、既に整えられたデータを使って、計算や集計を行います。
Excelで「SUM」や「AVERAGE」関数を使うのと同じように、データの中から答えを導き出すために使います。 - Power Queryはデータを整えるためのツール
Power Queryは、データを整理するために使います。
外部からデータを取り込むときに、不要な情報を削除したり、データをわかりやすい形に変換したりします。
2つのツールをうまく使い分けることで、データを効率的に整理し、正確に分析を行うことかのうになります。