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マーケティング業務の生成AI活用事例|サイバーエージェント・パルコ・伊藤園・資生堂・JALカード

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マーケティング業務における生成AI活用、いま何が起きているのか

広告クリエイティブの制作、商品パッケージのデザイン、顧客とのコミュニケーション設計など、マーケティング業務は本来、多くの時間と人手を要する領域です。ここに生成AIを組み合わせることで、制作スピードの向上だけでなく、これまで人の勘や経験に頼っていた効果予測やターゲティングの精度を高める動きが国内企業に広がっています。

一方で、AIが制作した広告やモデル起用をめぐっては、著作権や倫理面での議論も同時に起きており、慎重な運用が求められる領域でもあります。本記事では、広告クリエイティブ制作、パッケージデザイン、店頭接客、施策立案、マーケティングプロセス全体の高度化という5つの切り口から、国内企業の生成AI活用事例を各社の公式発表・プレスリリースをもとに紹介します。あわせて実践のステップと注意すべきリスクについても解説します。

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マーケティング領域における生成AI活用事例6選

ここでは、マーケティング業務での生成AI活用を公式に発表している企業の事例を紹介します。いずれも公式サイトやプレスリリースなど一次情報にもとづいています。

サイバーエージェント:広告クリエイティブの効果予測とAI生成で、コンバージョン180%増・CPA半減

サイバーエージェントは、広告クリエイティブ制作から配信までを支援する「極予測AI」を提供しており、AIが事前に広告効果を予測し、成果が出た場合のみ制作費用が発生する成功報酬型の料金体系を採用しています。2025年7月29日には、配信中の広告クリエイティブ表現の「偏り」を可視化する新機能「極多様性プロット」を開発し、Meta広告への対応を開始したことを公式発表しました。

同社の公式プレスリリースによると、若年層向けや価格訴求など、配信中クリエイティブの表現の偏りをAIが可視化し、これまでアプローチできていなかった潜在層に向けた新たな訴求表現の発見を支援する機能で、サービス提供に先駆けた先行テストではコンバージョン数が180%伸長し、CPA(顧客獲得単価)が半分ほどに抑えられる改善結果が確認されています。同社は2024年12月には、極予測AIを企業ごとにカスタマイズして提供する「AIクリエイティブBPO事業部」も新設しており、社内制作・外注コストの50%削減を目指す方針も示しています。

パルコ:グラフィック・ムービー・ナレーション・音楽まで、広告制作のすべてを生成AIで完結

パルコは2023年10月30日、「HAPPY HOLIDAYSキャンペーン」として、実際のモデル撮影を一切行わず、人物から背景まですべて画像生成AIのプロンプトから制作したファッション広告を公開したことを公式プレスリリースで発表しました。グラフィックやムービーに加え、女性ナレーションや音楽も生成AI技術で作成しており、LA在住のAI・デジタルクリエイター「Ai-Editorial – Christian Guernelli」を日本企業として初めて起用した点も話題になりました。

同社は発表の中で「新しい才能を見出し起用するのと同様に、まだ前例のない新しい技術をいち早く取り入れることも、企業としての存在価値である」とコメントしており、広告制作における生成AI活用を自社のブランディング戦略の一部として位置づけています。

伊藤園:画像生成AIでパッケージデザインを開発、業界初の取り組み

伊藤園は、デザイン開発を手がける株式会社プラグが開発した「商品デザイン用画像生成AI」のパイロット版を活用し、2023年9月4日にリニューアル発売した「お~いお茶 カテキン緑茶」のパッケージデザインを開発しました。この取り組みは、同AIサービスを使ったデザインが商品化された業界初の事例として、プラグの公式プレスリリースで発表されています。

開発プロセスは、画像生成AIでデザイン案を生成し、方向性をディスカッションしたうえでデザイナーが作成し直し、消費者評価を予測する「パッケージデザインAI」で絞り込み、最終的にブラッシュアップするという工程を複数回繰り返す形で進められました。伊藤園マーケティング本部の担当者は「人間同士のコミュニケーションに生成AIという新たなツールが加わり、これまでとは異なる角度でクリエイティブをつくり上げることができた」とコメントしており、短い開発期間でバラエティに富んだデザイン案から方向性をすり合わせられた点を評価しています。

資生堂ジャパン:生成AIチャットボットで店頭の美容部員によるマーケティングコミュニケーションを支援

資生堂ジャパンは、店頭で接客を行うパーソナルビューティーパートナー(PBP)が情報検索に使う端末「ビューティー・タブレット(B-TAB)」に、生成AIを活用した独自のチャットボットを導入したことを公式ニュースリリースで発表しました。資生堂ジャパン、資生堂インタラクティブビューティー、アクセンチュアの3社が共同でプロジェクトを進め、トライアル期間を経て2025年7月から本格導入しています。

このチャットボットはアクセンチュアの「Accenture AI Powered Back Office」を採用しており、商品・ブランド・プロモーションに関する情報を自然言語で検索でき、複数の要素を含む問い合わせにも瞬時に対応できる点が特長です。PBPの検索・閲覧・問い合わせ業務を効率化することで、応対時間の拡大や接客の質の向上、ひいては店頭でのマーケティングコミュニケーションの強化につなげる狙いです。

JALカード×NTTデータ:「AIバーチャル顧客」同士の会話からマーケティング施策を導出、購買率3.0%向上

JALカードとNTTデータは、生成AIを活用したマーケティング施策高度化の実証実験を実施し、その結果を2025年1月23日付の共同プレスリリースで公表しました。NTTデータの生成AI「LITRON(R) Multi Agent Simulation」を用いて、JALカードの利用傾向をもとにした複数の「AIバーチャル顧客(会員ペルソナ)」を作成し、販促対象商品に関心を示す顧客の特徴や効果的なダイレクトメールのタイトルなどについて、AIバーチャル顧客同士に会話やグループディスカッションを行わせることで、マーケティング施策への示唆を抽出しています。

2024年10月から2025年1月にかけて実施した検証では、この示唆から導き出したターゲットにダイレクトメールを送付した結果、従来のターゲット設定と比較して購買率が3.0%向上したことが確認されました。両社は今後もマーケティング領域における生成AI活用の可能性を検証していくとしています。

電通グループ:「AI For Growth Suite」とGEO研究プロジェクトでマーケティングプロセス全体を高度化

電通グループは2026年5月25日、企業のマーケティングプロセス全体を横断的に支援する統合AIプロダクトシリーズ「AI For Growth Suite」の提供開始を公式発表しました。新戦略「AI For Growth 3.0」のもと、国内電通グループ4社が連携し、戦略立案からクリエイティブ制作、効果検証までのプロセスを生成AIで支援する体制を整えています。

さらに2026年8月19日には、電通デジタルと電通PRコンサルティングが共同で、メディア露出と生成AIの回答内容の関係性を起点に、生成AI時代に対応した情報設計を支援する「GEO(生成エンジン最適化)研究プロジェクト」の発足を発表しました。ChatGPTやGeminiなどの生成AIが検索や情報収集の入口として使われる機会が増える中、企業や商品の情報がAIの回答にどう反映されるかを最適化する新しい観点として注目されています。

マーケティングに生成AIを取り入れる3つの実践ステップ

各社の事例に共通するのは、マーケティング業務の全工程を丸ごとAIに委ねるのではなく、時間のかかる工程や属人化しやすい判断を部分的に切り出して活用している点です。ここでは実務に落とし込みやすい3つのステップを整理します。

ステップ1:クリエイティブ制作の一部工程をAIに任せる

広告のグラフィックやコピー、パッケージデザインの初期案づくりは、ゼロから発想するには時間がかかる工程です。パルコや伊藤園の事例のように、まずは画像生成AIで複数のデザイン案やビジュアル案を短時間で出し、そこから人が方向性を選び、ブラッシュアップするという分業が現実的です。すべてをAI任せにするのではなく、アイデア出しの幅を広げる目的で使うのがポイントです。

ステップ2:効果予測・ターゲティングにAIを活用する

サイバーエージェントの「極予測AI」やJALカードの「AIバーチャル顧客」のように、配信前に効果を予測したり、AIによるシミュレーションでターゲットの反応を推定したりする活用法も広がっています。従来は配信してから結果を見るしかなかった判断を、事前にある程度シミュレーションできる点は、広告費の無駄打ちを減らすうえでも有効です。

ステップ3:顧客接点の一次対応をAIで支援する

資生堂ジャパンのB-TABのように、店頭スタッフやカスタマー対応の現場が情報を探す一次対応をAIチャットボットに任せることで、人はより付加価値の高い接客や提案に集中できるようになります。マーケティング施策の実行部隊である現場のスタッフを支援する視点も、生成AI活用を検討するうえで見落とされがちなポイントです。

マーケティングで生成AIを使う際に注意したいリスクと対策

効果が期待できる一方、マーケティングに生成AIを使う際には次のようなリスクにも注意が必要です。

著作権・肖像権のリスク

生成AIで作成した画像や音声には、既存の著作物や実在の人物に類似した表現が含まれる可能性があります。パルコの事例のように実在しないAIモデルを起用する場合でも、権利関係の整理や、AIで生成したことを適切に開示するかどうかの検討が必要です。広告に生成AI由来のタレントや画像を使う際は、事前に法的な確認を行う企業も増えています。

情報の正確性・炎上リスク

生成AIが出力したビジュアルやコピーが、意図せず消費者に誤解を与えたり、不適切な表現を含んでしまったりするリスクもあります。特に人物や商品を扱う広告では、公開前に複数人でのレビュー体制を整え、生成物をそのまま使わずに人の目でチェックする工程を挟むことが重要です。

生成エンジン最適化(GEO)という新しい観点

電通グループが取り組むGEO研究プロジェクトが象徴するように、従来の検索エンジン向けのSEOに加えて、生成AIの回答に自社の情報がどう反映されるかを意識したコンテンツ設計の重要性が高まっています。オウンドメディアやプレスリリースの情報設計を、人間の検索者だけでなく生成AIの参照先としても最適化する視点は、今後のマーケティング戦略に欠かせないテーマになりつつあります。

どのツール・サービスを選ぶべきか

マーケティング業務に使える生成AIサービスには、汎用的なChatGPTやClaude、Geminiに加えて、サイバーエージェントの「極予測AI」のようにマーケティング特化で開発された専用サービスも選択肢に入ります。広告クリエイティブの効果予測やパッケージデザインの評価など、定量的な判断が求められる工程には専用サービスの活用が向いている一方、企画書やコピーのドラフト作成、資料作成には汎用的な生成AIが柔軟に対応できます。目的や業務内容に応じたツール選びのポイントは、ChatGPT・Claude・Copilot 使い分けガイドでも詳しく整理していますので、あわせてご覧ください。また、マーケティング施策の骨子や提案資料の作成に生成AIを使う場合の実践ステップは、資料作成の生成AI活用事例まとめでも紹介しています。

まとめ

マーケティング業務における生成AI活用は、広告クリエイティブの制作からパッケージデザイン、店頭接客、施策立案、マーケティングプロセス全体の高度化まで、幅広い工程に広がっています。サイバーエージェントの「極多様性プロット」やJALカードの「AIバーチャル顧客」のように、成果を数値で示す企業が増えている一方、パルコや伊藤園のようにクリエイティブそのものを生成AIで作り上げる事例も出てきました。まずは自社の業務のどの工程を切り出せるかを見極め、著作権や情報の正確性への配慮を欠かさずに、段階的に活用を広げていくことが重要です。

参考サイト・引用元

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