私は10年以上会社員生活をしていますが、仕事はストレスはたまる一方、という方が多いかと思います。
100%主観ですが、読んだ後、人間関係の悩みが薄れた書籍を紹介します。
別の言い方をすると「読んでよかった」「割り切って働けるようになった」「気持ちがラクになった」本です。
少しでも何かのヒントになれば嬉しいです。
嫌われる勇気
1冊目は、超有名ベストセラーの『嫌われる勇気』です。
「課題の分離」「原因論ではなく目的論」「悩みは全て人間関係が原因」など共感できる考え方がたくさんありました。
そして、色々なところで目にし、耳にした「今を生きる」ということを少しリアリティをもって感じられました。
読んで考えたことの一例ですが、「課題の分離」を仕事にリンクさせてみると、「人事評価」が連想されました。
人の評価はやっぱり気になるものですが、どう評価はするかは他者の課題だなとあらためて思いました。
人事評価に納得がいかず、闘う人も見てきましたが、ケースバイケースであるものの、最善の行動なのか疑問に思うことも多かったです。
実は「嫌われる勇気」というタイトルから、何となく敬遠して、比較的最近読んだのですが、もう少し早く読めばよかったと思いました。
本の帯に書いてあったりもしますが、あの堀江貴文さんも絶賛していました。
シロクマのことだけは考えるな!
シロクマ理論とは
2冊目は『ホンマでっかTV』への出演でご存じなかたも多い植木理恵先生の『シロクマのことだけは考えるな!』です。
心理学で有名なシロクマ理論が登場します。
ある実験で、目的は伝えずに、被験者にシロクマの1日を追った50分程度の映像を見せました。
その後、被験者を3グループに分けて、それぞれ以下のようなメッセージを伝えました。
- Aグループ
映像のシロクマのことを覚えていてください。 - Bグループ
シロクマのことを考えても考えなくてもどちらでも構いません。 - Cグループ
シロクマのことだけは考えないでください。
なぜシロクマかというと、心理学的に何の象徴でもなく、イメージが固定されていない動物であるためらしいです。
さて、1年後、それぞれのグループの方に、シロクマの映像の内容をどれだけ覚えているか確認したところ、もっともよく覚えていたのはCグループの被験者だったそうです。
この実験結果から、考えるのをやめよう、忘れようと思うほど、頭から離れなくなってしまうということが示唆されました。
心理学では、これを皮肉過程理論というそうです。
つまり、仕事で何か嫌なことがあったとき、忘れようとしても、むしろ逆に考えてしまい、それによってさらにパフォーマンスが落ちる、という悪循環に陥る可能性が高いということです。
ではどうすれよいか。
この本では、「脳のメーターが振り切れるまで考えること」「詳細に日記につけること、そして自虐的に人に話すこと」といった方法が書かれています。
思い出すのは、新卒で入った会社の入社式。
挨拶をした一人の役員が「仕事の悩みは仕事でしか解決しない」と言っていました。入社式で唯一憶えているのはこの言葉です。
本書の内容は、以下のとおりで、様々な心理術について記載されています。
「シロクマのことだけは考えるな」、この心理学の著名な実験があなたの悩みを解決してくれるかもしれません。いますぐ忘れたい辛い恋、成果のない合コン、ギクシャクする上司との関係、どんなに頑張っても幸福感のない日常―あらゆるシチュエーションで私たちがぶつかる問題を気鋭の心理学者が分析、ベストの対処法を教えます。
「BOOK」データベースより
ボリュームも少なめで、楽しく読み進められる1冊です。
禅脳思考
3冊目は『禅脳思考』という本です。
スポーツドクターの辻秀一先生が書かれた本です。副題は『禅的な脳を使って、最高の自分を引き出す方法』です。
意味付けによるパフォーマンス低下
人間は外界に対する認知機能、意味付けを行って文明を発達させてきた生き物であり、意味付けをするのは人間だけだ、という話から始まります。
そして、「雨が降っていると憂鬱」というように意味付けをするけれど、本当は雨が降っていることに意味などないと書かれています。犬は「気温30℃は暑い」と意味付けしません。
たしかに。
クライアントへのトラブル報告も、役員へのプレゼンも、まあ意味なんてないと思うのが第一歩かもしれません。
ところが、報告やプレゼンは憂鬱、などと意味付けしてしまいます。その結果、パフォーマンスが低下します。
ポジティブ思考ではなく禅脳思考
本書では、ポジティブ思考には限界があると述べられています。
ポジティブ思考はプラスの意味付けであり、「雨のおかげで水が飲める」「気温30度は暑くない。汗をかくのはいいこと」などといった無理やりな思考です。
最高のパフォーマンスができる心の状態は、「”揺らがず” ”とらわれず” の心の状態」と表現されています。
「”揺らがず” ”とらわれず” の心の状態」を作るためには「気づき」が必要だと述べられています。
そもそも認知脳が発達している人間が、外界にとらわれてしまうことは仕方ない。そこから抜け出すためには、まず、とらわれている自分に気づくことが必要ということです。
座禅を組んで、「考えすぎている」=「認知脳の暴走」を鎮め、自分自身を見つめ気づき、心を感じていくような発想が人間には本来必要なのです。
禅脳思考 P.33
私は、これを禅的な脳の使い方、すなわち「禅脳思考」だと考えています。
例えば「明日プレゼンで憂鬱に感じているな」と気づくことです。そして、パフォーマンスを上げるためには、何が必要か考えることが重要です。プレゼンでパフォーマンスを上げるには、資料を見直したり、質問対策をしたりすることが必要です。
このように、今やるべきことに注力できれば、パフォーマンスを上げられるということです。
おわりに
今回ご紹介した3冊では、「考えるべきことは何か」を提示してくれます。
私にとって人生の道標になっています。