DMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)とCDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)は、データを活用してマーケティング活動を最適化するためのプラットフォームですが、目的やデータの取り扱い方が異なります。
DMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)
DMPは、主に匿名のサードパーティデータを収集、整理、分析し、広告ターゲティングに利用するためのプラットフォームです。以下はDMPの特徴です。
主な用途
- 広告ターゲティング
ウェブ上での広告キャンペーンの最適化に使用されます。特定の属性や行動に基づいて、匿名のユーザーに対する広告配信を行います。 - サードパーティデータの活用
DMPは外部から提供される匿名データ(サードパーティクッキーなど)を集め、広告主がターゲットにしたいユーザー層(例えば「車を購入しようとしているユーザー」)をセグメント化します。
収集するデータの種類
- サードパーティデータ
他社から提供されたデータが中心。これにより、ウェブ上の大規模なユーザー層を対象にすることが可能です。 - 匿名データ
個々のユーザーが誰なのかを特定できない情報(クッキーIDやデバイスID)を使用。
データの保持期間
DMPで取り扱うデータは、通常短期間(クッキーの寿命である数週間から数ヶ月)しか保持されないため、一時的なマーケティングキャンペーンに特化しています。
活用方法
主に広告プラットフォームにデータを送り、ターゲティング広告を配信します。
広告キャンペーンの結果として、特定のユーザー層へのリーチやコンバージョンを促進します。
CDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)
一方、CDPは企業が保有する顧客データを統合、整理し、マーケティングや顧客体験の向上に活用するためのプラットフォームです。
DMPと異なり、個人の特定が可能なファーストパーティデータを中心に扱います。
主な用途
- 顧客の理解とエンゲージメント
顧客一人ひとりの行動履歴や購買データを統合し、パーソナライズされた顧客体験を提供するために使います。例えば、メールマーケティングやプッシュ通知での個別メッセージ配信が可能です。 - データの統合
CDPはファーストパーティデータ(自社が直接収集したデータ)を中心に、複数のチャネルやタッチポイントから顧客データを統合します。これにより、オンラインとオフラインのデータを含む全体的な顧客のライフサイクルを把握できます。
収集するデータの種類
- ファーストパーティデータ
企業自身が収集した、特定の顧客に紐付けられたデータ。ウェブサイトの行動データ、購買履歴、メールアドレス、電話番号などが含まれます。 - パーソナルデータ
顧客ごとに個別の識別が可能な情報を扱い、顧客の属性や行動に基づく詳細なプロファイルを構築します。
データの保持期間
CDPのデータは長期間保持されることが一般的で、顧客のライフタイムバリュー(LTV)を最大化するために使用されます。
活用方法
CDPは、マーケティングオートメーションやパーソナライズされたメッセージ配信に使用されることが多く、企業が顧客との関係を深め、リテンションやLTV向上を目指すために役立ちます。
DMPとCDPの主な違い
DMP | CDP | |
---|---|---|
データの種類 | サードパーティデータ、匿名データ | ファーストパーティデータ、個別顧客データ |
利用目的 | 広告ターゲティング | パーソナライズされた顧客体験の提供 |
データの保持期間 | 短期的(クッキーの寿命) | 長期的(顧客ライフサイクル全体) |
ターゲティングの精度 | 匿名ユーザー向けのマスマーケティング | 個別顧客に向けたパーソナライズマーケティング |
活用チャネル | 主に広告プラットフォーム | マーケティングオートメーション、CRM、分析ツールなど |
DMPとCDPの併用
最近では、DMPとCDPを組み合わせて使用する企業も増えています。
DMPが匿名の新規顧客を発見する役割を果たし、CDPがその後のエンゲージメントやリテンション活動に役立つといった、両者を補完する形での活用が効果的です。
例えば、DMPを使ってオンライン広告で新しい見込み顧客を獲得し、CDPでその顧客の行動や購買データを統合して、個別のマーケティングメッセージを提供することが可能です。
主なDMP・CDPサービス
DMP・CDPを提供している会社について簡単にまとめます。
セールスフォース
セールスフォースのData Cloudは「従来のCDPの特長に加えて、セールスやサービスも含め、あらゆる業務に役立つ機能を備えた包括的なデータソリューション」とされています。
トレジャーデータ
トレジャーデータのCDPは、「バッチとリアルタイムのデータを組み合わせ、Al を活用してカスタマージャーニーをパーソナライズできるただ一つのCDP」と謡われています。
インティメート・マージャー
日本最大級の「IM-DMP」、「IM-CDP」を提供しています。
アドビ
「Adobe Audience Manager」を提供し、データの資産化・分析・活用を一気通貫でサポートしています。
また、リアルタイムの体験を実現する顧客プロファイルを構築する「Adobe Real-Time CDP」を提供しています。
フリークアウト
MOTHERというDMPを提供しています。
Appier Japan
AIXONを提供し、データの価値を無限の可能性へつなげることを目指しています。
まとめ
DMPとCDPはどちらもマーケティング活動における重要なプラットフォームですが、その役割やデータの取り扱い方に違いがあります。DMPは主に広告キャンペーンのターゲティングに焦点を当て、匿名データを使って短期間の施策を行います。一方、CDPは顧客データを一元管理し、長期的な顧客関係の構築を目指すツールです。企業のマーケティング戦略に応じて、これらのプラットフォームを適切に選択し、または併用することが成功への鍵となります。