Streamlitは、データサイエンティストやエンジニアがPythonだけで迅速にWebアプリケーションを構築できるシンプルなフレームワークです。
今回は、Streamlitならではのメリットを紹介します。
Streamlitの主なメリット
直感的でシンプルなUI構築が可能
Streamlitは、HTMLやCSS、JavaScriptといったフロントエンドの知識がなくても、PythonのコードだけでUIを構築できるのが特徴です。
たとえば、データ入力フォームやボタン、グラフ表示といったインタラクティブな要素も数行のコードで実装できます。
以下のコードは、ボタンやテキストを配置してデータを表示する例です。
import streamlit as st
import pandas as pd
st.title("サンプルアプリ")
st.write("Streamlitで簡単にデータを表示できます。")
if st.button("データを表示"):
df = pd.DataFrame({
'列1': [1, 2, 3, 4],
'列2': [10, 20, 30, 40]
})
st.write(df)
このように、コードが簡潔なため、初心者でも直感的に操作でき、簡単なダッシュボードやレポート作成に適しています。
開発スピードが非常に速い
Streamlitは「コードを保存するたびに自動的にアプリが更新される」という特徴を持ち、開発のサイクルが非常に短縮されます。
データの加工や可視化をする度に即座に変更が反映されるため、インタラクティブにデータを扱いながら、リアルタイムに結果を確認できます。
- 変更の即時反映
コード変更後、すぐに再ロードされるため、検証・デバッグがスムーズです。 - フィードバックループの高速化
データアナリストやエンジニアが即座にフィードバックを確認できるため、クライアントやチームとのやり取りが迅速になります。
データサイエンスに特化した機能
Streamlitはデータサイエンス向けに設計されているため、Pythonのデータ解析ライブラリ(pandasやnumpy、matplotlib、Plotlyなど)と簡単に連携できます。
データフレームの表示、グラフの描画、モデルの結果など、データサイエンスに必要な操作をシンプルに実装できます。
以下のコードは、グラフを可視化する例です。
import matplotlib.pyplot as plt
import numpy as np
st.write("ランダムデータのグラフ")
data = np.random.randn(100)
fig, ax = plt.subplots()
ax.hist(data, bins=20)
st.pyplot(fig)
データサイエンスや機械学習のプロジェクトでは、処理結果の可視化やインタラクティブなダッシュボード作成が重要です。
Streamlitを使うことで、複雑な設定なしにデータを視覚化し、わかりやすくクライアントやチームに提示できます。
コードのシンプルさ
Streamlitでは、従来のWebアプリケーションフレームワーク(FlaskやDjangoなど)に比べて、Webページを構成するコードが非常に少なくて済むため、開発効率が上がります。
例えば、Djangoでページを構築する際には、テンプレートエンジンやデータベース設定が必要ですが、StreamlitはPythonコードのみで完結します。
テンプレートを作成したり、サーバーやデータベースの設定を行う必要がないため、初心者でも手軽に始められ、経験者であればさらに効率よく開発できます。
デプロイの手軽さ
Streamlitは、クラウドデプロイにも対応しており、作成したアプリケーションをすぐに公開することが可能です。
Streamlit自身が提供するホスティングサービス(Streamlit Community Cloud)を使えば、簡単な設定でアプリをインターネット上に公開できます。
Amazon EC2やAzure App Serviceを利用したホスティングも可能です。
再利用性の高いコンポーネント
Streamlitでは、スライダーやセレクトボックス、ファイルアップロードなど、再利用性の高いインタラクティブなコンポーネントが多数提供されています。
これらを活用することで、ユーザーのニーズに合わせたインタラクティブなアプリを簡単に実装でき、用途に応じて柔軟に拡張可能です。
以下のコードはスライダーの例です。
value = st.slider("スライダーで選択", min_value=0, max_value=100, value=50)
st.write(f"選択した値: {value}")
このようなコンポーネントを使うことで、ユーザーがアプリ上で簡単にデータを操作でき、柔軟なデータ分析やフィードバックが可能になります。
サポートとコミュニティの充実
Streamlitは多くのデータサイエンティストやエンジニアに支持され、オンラインで豊富なドキュメントやサポートを提供しています。
公式のフォーラムやGitHub、Stack Overflowなどで、多くの質問が共有されており、初心者でもつまずきにくい環境が整っています。
業務アプリケーションやPoCでの利用
これまで挙げたメリットから、簡単な業務系のアプリケーションやPoC(概念実証)にも有用です。
特に、PoCで、画面作成、ユーザーテスト、有用性評価を繰り返すような場合、Streamlitは適していると思います。
最近だと、Streamlitを利用した生成AIアプリを作成して、業務利用の有用性を確かめるPoCを行っていました。
ただ、たくさんの画面があったり、データベースの多くのテーブルを利用するような、規模の大きいアプリケーションや長期間の運用を行うのであれば、他のフレームワークを検討した方がよいかと思います。
App Gallery
アプリケーションのギャラリーを見ると、どのようなアプリが開発できるか分かります。
まとめ
Streamlitは、データサイエンスや機械学習のプロジェクトにおいて、以下のようなメリットをもたらします。
- 直感的でシンプルなUI構築
- 開発スピードの向上
- データサイエンスに特化した機能
- シンプルなコードでのWebアプリ構築
- 簡単なデプロイ
- 再利用性の高いコンポーネント
- 充実したサポートとコミュニティ
Streamlitを使うことで、データ可視化やダッシュボードの構築が簡単になり、データアナリストやエンジニアは手軽にインタラクティブなアプリを作成できます。