Azureの仮想ネットワーク(Virtual Network, VNet)は、Azureクラウド内で仮想的なネットワーク環境を構築するための基本的なリソースです。
これは、オンプレミスのネットワークに似た機能を提供し、仮想マシン(VM)や他のリソースが安全に通信できるようにします。
この記事では、Azureの仮想ネットワークについて、基本的な構造や活用方法をまとめます。
仮想ネットワークの基本
仮想ネットワークとは
仮想ネットワークは、Azure内でリソース間の通信を可能にする仮想的なネットワーク空間です。
以下のような特徴があります。
- プライベートなIPアドレス空間の作成
リソース間の通信をインターネット経由ではなく、Azure内部で行います。 - ネットワークセキュリティ
セキュリティグループを利用してトラフィックを制御可能です。 - 拡張性
必要に応じてサブネットやピアリングを追加して拡張できます。
仮想ネットワークの構成要素
仮想ネットワークを構築する際の主な構成要素は以下の通りです。
- アドレス空間
CIDR(Classless Inter-Domain Routing)形式で定義するネットワーク範囲。 - サブネット
仮想ネットワークをさらに分割した小さなネットワーク。
各サブネットには固有のCIDRブロックが割り当てられます。 - ネットワークセキュリティグループ(NSG)
トラフィックの許可・拒否を制御するルールセット。 - ルートテーブル
トラフィックの経路を制御するためのカスタムルート設定。 - DNS設定
内部リソースの名前解決をカスタマイズ可能。
仮想ネットワークの設定
仮想ネットワークの作成手順
Azureポータルを使用して仮想ネットワークを作成する基本手順は次の通りです。
- Azureポータルにログイン。
- “Virtual Network” を検索し、新しい仮想ネットワークを作成。
- 名前、アドレス空間(例:
10.0.0.0/16
)、サブスクリプション、リソースグループを指定。 - 必要なサブネットを設定(例:
10.0.1.0/24
)。 - 必要に応じてDNSやネットワークセキュリティグループを構成。
- 確認後、作成をクリック。
仮想ネットワークの活用例
仮想マシンのネットワーク構成
仮想マシンを仮想ネットワーク内に配置することで、同じネットワーク内の他のリソースとセキュアに通信できます。
サービスエンドポイントとプライベートエンドポイント
AzureのPaaSサービス(例: Storage AccountやSQL Database)を仮想ネットワークに直接接続可能。
- サービスエンドポイント
リソースへの通信がAzureバックボーンネットワークを経由するようになります。 - プライベートエンドポイント
PaaSリソースにプライベートIPアドレスを割り当てることで、完全にプライベートなアクセスを実現します。
仮想ネットワークピアリング
異なる仮想ネットワーク間での通信を可能にします。
例えば、複数のプロジェクトや環境に分けた仮想ネットワークをピアリングすることで効率的に管理できます。
ハイブリッド構成
オンプレミス環境とAzure仮想ネットワークをVPNゲートウェイやExpressRouteを使用して接続することで、シームレスなハイブリッドクラウドを構築可能です。
仮想ネットワークのポイント
- CIDRブロックの計画
将来的な拡張を考慮し、アドレス空間を適切に設計。 - NSGでセキュリティを強化
特にインターネットからのトラフィックを最小限に抑える。 - ロギングの有効化
Azure MonitorやNetwork Watcherを使用してトラフィックを監視。 - 命名規則の統一
リソース名が一目で分かるように命名規則を導入。 - テスト環境の分離
本番環境とテスト環境で仮想ネットワークを分離し、リスクを軽減。
まとめ
Azureの仮想ネットワークは、クラウド環境での安全で柔軟なネットワーク構成を可能にします。基本的な設定から高度な活用例まで、多様なニーズに応えることができます。