GitHub Copilotに、実務に直結する3つの変更が同時発表
GitHubは2026年8月28日、GitHub Copilotの料金体系とポリシーに関する3つの変更をまとめて発表しました。いずれも単独の小さな仕様変更ではなく、Copilotを組織で導入している企業の請求額や、チャット履歴の扱い、コードレビューの挙動そのものに影響する内容です。発表元はGitHub公式のChangelog記事「Upcoming changes to GitHub Copilot policies and billing」で、適用開始日はいずれも2026年9月から10月にかけて設定されています。
新しいモデルの追加や機能拡張のニュースは頻繁に出ますが、今回のように課金の仕組みそのものに手が入るアナウンスは、現場のCopilot管理者にとって見落とすと後で困る種類の情報です。本記事では、GitHubの公式発表をもとに、3つの変更点をそれぞれ整理し、企業の管理者が9月末までに確認しておくべきことをまとめます。
変更点1:Business/Enterpriseの新規申込再開と、シート課金の見直し
何が変わるのか
GitHubは2026年9月1日から、クレジットカードまたはPayPalで支払うCopilot BusinessおよびCopilot Enterpriseの新規申込受付を再開すると発表しました。あわせて、アカウントの審査体制を強化し、支払い方法にクレジットカード・PayPalを使う顧客向けの請求フローを更新するとしています。
具体的な変更点は次の3つです。
- 新規に割り当てられるCopilot Business・Enterpriseのシートは、ユーザーがCopilotにアクセスできるようになる前に、シートごとの支払いが必須になります。
- 2026年10月1日の請求サイクルから、割り当て済みのCopilot Business・Enterpriseシートすべてに前払い請求が発生するようになります。既存顧客のうち、クレジットカードまたはPayPalで支払っている顧客が対象です。
- 含まれる利用量(included usage)を超えて使った場合、追加の支払いが必要になることがあります。含まれる利用量は、シート費用の日割りにあわせて月内で按分される場合があります。
変わらない点
一方で、GitHubは「変わらない点」も明記しています。Copilot Business・Enterpriseの価格自体は変更されません。シートを取り消しても日割りの返金は発生せず、次回の月次請求に反映される形になります。月の途中で追加したシートは、これまで通り追加日から請求サイクル終了日までの日割り計算です。含まれる利用量を超えた分の追加購入や、使用量トラッキング、AIクレジットの追加購入といった既存の仕組みもそのまま維持されます。
既存顧客への影響とスケジュール
既存のCopilot Business・Enterprise顧客は、2026年10月1日から今回の請求変更の対象になります。注意したいのは、価格そのものは変わらない、というアナウンスの書き方には注意が必要です。変わるのは「いつ・どう請求されるか」という運用の部分だからです。特に、Copilotを一度完全に解約してから再度契約し直す場合、更新された審査・請求フローの対象になる可能性がある点も明記されています。経理部門やIT購買の担当者と共有し、10月の請求書に想定外の前払い項目が出てこないか確認しておくとよいでしょう。
変更点2:Copilot Chatとクラウドエージェントの統合、データ保持期間の変更
統合される3つの体験
2つ目の変更は、GitHub Copilotの利用体験そのものの統合です。GitHubは2026年9月28日以降(早くても)、次の3つの機能を単一のCopilot体験へ統合すると発表しました。
- github.com上のCopilot Chat
- GitHub MobileアプリのCopilot Chat
- GitHub Copilotクラウドエージェント
これまで別々に存在していたポリシーは、1つの統合ポリシーに置き換わります。統合後の新しい体験は、リリース後にデフォルトで有効になります。クラウドエージェントはSandboxを活用することで、より高速なクラウド実行環境を提供するとされています。
チャット履歴の保持期間が28日間から無期限に
管理者が特に注意すべきなのが、データ保持に関する変更です。github.com上のCopilotは、これまでクラウドエージェントのみが使っていた「エージェントセッション」の仕組みに完全移行します。その結果、これまで28日間で自動的に消去されていたチャット履歴が、アカウントが存続する限り保持される仕様に変わります。これは既存のCopilotクラウドエージェント体験に合わせる形の変更です。
社内のコンプライアンス要件やデータ保持ポリシーによっては、この変更が無視できない論点になる組織もあるはずです。特に機密性の高いコードやドキュメントについてCopilot Chatで質問をしているケースがある場合、データ保持期間の延長が自社のセキュリティポリシーと矛盾しないか、9月28日より前に確認しておく必要があります。
オプトアウトする場合の設定手順
この統合はデフォルトで有効化されるため、何もしなければ自動的に新しい体験へ移行します。もし移行させたくない、あるいは事前にポリシーを確認してから判断したい場合は、次の手順で設定画面を確認できます。
- github.com上のCopilot設定画面を開く
- 「Copilot cloud agent (coming soon)」を選択する
- ポリシーオプションを設定する
なお、統合後の体験からオプトアウトした場合、github.comおよびGitHub Mobile上でのCopilotへのアクセスができなくなる点には注意してください。ビジネス・エンタープライズ管理者は、9月28日より前にこのポリシーを見直し、自社のチーム運用に合っているかを確認するようGitHubから案内されています。
変更点3:コードレビューの既定エフォートレベルがBalancedに変更
レビューエフォートレベルとは
3つ目は、GitHub Copilotのコードレビュー機能に関する変更です。Copilotのコードレビューには「エフォートレベル」という設定があり、レビューの厳密さ・深さを調整できます。これまでの既定値はLite(軽量)でしたが、2026年9月28日から、Default設定を使っている組織・リポジトリでは自動的にBalanced(標準)へ変更されます。
エフォートレベルは、組織単位・リポジトリ単位のそれぞれで設定できます。組織の既定値は、個別に設定していないすべてのリポジトリに適用されます。リポジトリの既定値は、自動的にリクエストされるレビューに適用され、手動でレビューを依頼する場合はプルリクエストの「Reviewers」バーからその都度エフォートレベルを選択できます。
Lite据え置きにする方法
レビューのDefault設定を使っている場合、管理者が何も操作しなければ、9月28日を境に自動的にBalancedへ切り替わります。もしこれまで通りLiteの挙動を維持したい場合は、9月28日より前に、リポジトリまたは組織の設定で「Default」から明示的に「Lite」を選択し直す必要があります。明示的にLiteを選択していれば、GitHubはその設定を尊重し、Balancedへの切り替えは行われません。
Balancedへの変更は、レビューにかかる時間や指摘の粒度に影響する可能性があるため、大規模リポジトリでCopilotコードレビューを自動運用しているチームほど、事前の挙動確認をおすすめします。
あわせて押さえておきたい8月のGitHub Copilotアップデート
今回の料金・ポリシー変更と同じ8月には、GitHub Copilotまわりで他にも複数のアップデートがありました。たとえば、Copilot CLIがネイティブのRustランタイム上で動作するようになり処理速度が大幅に向上したこと、Visual Studioで組織単位のカスタムエージェント公開やモデルの「思考の深さ(Low/Medium/High)」調整機能が追加されたことなどです。GitHub CopilotアプリのCustomizeタブが一般提供された話や、モデルの既定有効化ポリシーについては、それぞれ以前の記事(GitHub Copilotアプリとは?複数のAIエージェントを1画面で操るデスクトップアプリを解説、GitHub CopilotにGrok 4.6が追加、企業向け「既定有効化」ポリシーも8月26日始動)で詳しく取り上げていますので、あわせてご確認ください。
こうして並べてみると、GitHubは2026年8月から9月にかけて、モデルの選択肢を増やす一方で、企業向けの管理・課金・データ保持といった「運用の土台」を集中的に整備していることがわかります。個人開発者にとっては新機能の追加として映る一方、組織のCopilot管理者にとっては、確認すべき設定項目が一度に増える時期だと言えるでしょう。
管理者が9月末までに確認すべきことリスト
今回の3つの変更を踏まえ、Copilot Business・Enterpriseを導入している組織の管理者は、次の点を9月末までに確認しておくことをおすすめします。
まず、経理・購買部門と連携し、10月1日以降の請求サイクルで前払い請求が発生することを事前に共有しておくことです。特にクレジットカードやPayPalで支払っている場合、想定外の請求タイミングに驚かないよう社内周知が欠かせません。次に、Copilot Chatのデータ保持ポリシーが28日間から無期限に変わることについて、自社の情報セキュリティ部門と協議し、必要であれば9月28日より前にポリシー画面でオプトアウトを検討することです。最後に、コードレビューを自動化しているリポジトリがある場合、Balancedへの切り替えによってレビューの挙動がどう変わるか、Lite据え置きが必要かどうかをチームで判断しておくことです。
まとめ
GitHub Copilotの今回の発表は、新機能の追加ではなく「運用ルールの変更」である点が特徴です。価格は変わらないとされていますが、請求のタイミングやデータ保持期間、レビューの既定挙動といった、日々の運用に直結する部分に手が入ります。特にBusiness・Enterpriseプランで組織導入している企業は、9月28日・10月1日という2つの節目を意識しながら、管理者設定を事前に見直しておくことをおすすめします。
参考サイト
- Upcoming changes to GitHub Copilot policies and billing(GitHub Changelog、2026年8月28日)
- GitHub Copilot in Visual Studio — August update(GitHub Changelog、2026年8月28日)
- GitHub Copilot weekly releases — August 24(GitHub Changelog、2026年8月28日)
- Copilot code review: Resolution reasons and expanded capabilities(GitHub Changelog、2026年8月27日)
- GitHub Copilot plans(GitHub公式ドキュメント)

