生成AIの「自律型AIエージェント」機能をめぐる状況が、2026年に入って大きく動いています。特にChatGPTでは、これまで使われてきた「ChatGPT Agent」がすでに利用できなくなっており、後継の「ChatGPT Work」に置き換わりました。OpenAIのヘルプセンターでも「ChatGPT agentはもう利用できません。長時間かかる複数ステップのタスクや成果物の作成にはChatGPT Workを使ってください」と案内されています。
この記事では、ChatGPT Agentに何が起きたのかを整理したうえで、Claude・Gemini・Microsoft Copilotが提供している自律型AIエージェント機能と、料金・対象プラン・できることを比較します。「どのサービスのどのプランに入れば、AIに作業を任せられるのか」を判断する材料としてご活用ください。
「AIエージェント」とは何か
AIエージェントとは、1回の質問に1回answerして終わる従来のチャットAIとは異なり、与えられた目標に対して自分で計画を立て、複数のステップを自動で実行し、最終的な成果物(資料、レポート、Webページなど)まで作り上げる機能を指します。近年は「ブラウザを操作して調べ物をする」「ファイルやアプリを横断してタスクをこなす」「決まった時刻に処理を自動実行する」といった機能を各社が競うように実装しており、ChatGPT、Claude、Gemini、Microsoft Copilotのいずれにも何らかの形でエージェント機能が搭載されています。ただし呼び方も、使えるプランも、できることも4社でかなり異なるため、以下で個別に見ていきます。
ChatGPT|Agentは終了、今は「ChatGPT Work」に統合
ChatGPTのエージェント機能は、2025年に「Operator」として登場した後「ChatGPT Agent」という名称になり、ブラウザ内蔵型の「ChatGPT Atlas」でも利用できるようになっていました。しかし2026年に入り、状況が大きく変わっています。
まずChatGPT Atlasは、2026年7月9日にOpenAIが単独ブラウザとしての提供終了を発表し、約1か月の移行期間を経て2026年8月9日にサービスを終了しました。ブラウザ内のエージェント機能は、新しいChatGPTデスクトップアプリに統合されています。ブラウザとしての代替を探している方は、ChatGPT Atlas終了後どれを使う?Perplexity Comet・Claude in Chrome・Gemini in Chrome比較もあわせてご覧ください。
さらに、Agent機能自体もOpenAIの公式ヘルプセンターで「ChatGPT agentはもう利用できません」と案内される状態になっており、後継として位置づけられているのが2026年7月9日に発表された「ChatGPT Work」です。ChatGPT Workは、メールやカレンダー、ドキュメント、スプレッドシートなど接続済みのアプリやファイルから文脈を集め、計画を立てたうえで、資料・スプレッドシート・レポート・簡易Webサイト(Sites機能)などの完成した成果物を作るエージェントです。作業の途中経過を確認したり、重要な操作の前には承認を求められたりする点はAgent時代と共通しています。1,400以上のプラグイン・コネクタと連携でき、定期実行の「スケジュールタスク」機能も備えています。
ChatGPT Workは、デスクトップアプリでは無料・Goを除く有料プラン全体で、Web・モバイルではPro・Pro Lite・Enterprise・Eduのユーザーに先行提供され、Plus・Business利用者にも順次拡大されています。つまり実質的には、月額3,000円のPlusプラン以上でChatGPT Workの機能に触れられる形です。「ChatGPT Agentがない」と感じた場合は、まずChatGPT Workを試してみてください。
Claude|Computer Use・Claude Cowork・Claude in Chrome
Anthropicは単一の「エージェント機能」ではなく、いくつかの製品にエージェント的な能力を分散させています。
ひとつは「Computer Use」で、AIがPCの画面を認識し、実際にマウスやキーボードを操作してタスクを代行する機能です。研究プレビューとして提供が始まり、現在はClaude CoworkやClaude Codeの中で利用できます。追加料金はかからず、Claude Pro(月20ドル、目安で月3,000円台)またはClaude Maxへの加入が条件です。
もうひとつが「Claude Cowork」で、もともとはエンジニア向けだったClaude Codeの自律的な作業能力を、非エンジニアのファイル整理やタスク管理にも使えるようにしたものです。フォルダの整理、資料の下書き作成、スケジュール登録の代行といった、日常的なパソコン作業を任せられる点が特徴です。Enterpriseプランでの内蔵ブラウザの扱いについては、Claude Cowork内蔵ブラウザ、Enterpriseは9月10日から既定オンで詳しく解説しています。
ブラウザ操作に特化したものとしては「Claude in Chrome」拡張機能もあり、Webサイトの操作に加えて、業務ツールと直接つながる「コネクタ」機能を通じて340種類以上のサービスと連携できます(2026年6月時点)。ChatGPTのように機能ごとにプランが分かれておらず、有料プランであれば基本機能は共通で、プランによる違いは主に1日あたりの利用量(レート制限)です。
Gemini|Project Mariner(Google AI Ultra限定)
Googleのエージェント機能は「Project Mariner」と呼ばれ、Gemini系モデルをベースに、画面を認識して計画を立て、クリック・入力・スクロールといった操作を自動で行うブラウザ拡張機能として提供されています。「Observe(観察)→Plan(計画)→Act(実行)」のループを繰り返しながらタスクをこなす仕組みで、同じ作業手順を繰り返し学習させる「Teach & Repeat」機能もあります。
ここで注意したいのが対象プランです。Project Marinerは、Geminiの中間プランである「Google AI Pro」には含まれておらず、最上位の「Google AI Ultra」に加入した場合のみ利用できます。Google AI Ultraは2026年5月の価格改定で、20TBストレージ付きの下位ティアが月14,500円、30TBの上位ティアが月32,000円という2段階構成になりました。ChatGPTやClaudeの主要プランが月3,000円前後であるのに対し、GeminiのエージェントAI体験は最上位プランでしかフルに使えない点が大きな違いです。
Microsoft Copilot|Researcher・Analyst
Microsoft 365 Copilotには、「Researcher」と「Analyst」という2種類のエージェントが一般提供(GA)されています。Researcherは、社内データと公開Web情報の両方を横断的に調べ、出典付きのレポートとしてまとめてくれる調査特化型のエージェントです。Analystは、Pythonコードを実行しながら複雑なデータを分析するエージェントで、実行過程のコードも確認できます。
個人・家族向けとしては、2025年10月以降「Microsoft 365 Premium」として再編されたプラン(月額3,200円、年払いなら年32,000円)に、これらのエージェント機能を含むCopilotの利用枠がまとまっています。ただし、AI機能が使えるのはサブスクリプションの契約者本人のみで、家族プランの他のメンバーには共有されない点に注意が必要です。企業向けには、Microsoft 365 Copilotのアドオンライセンスを追加することで同様の機能を利用できます。
4サービス比較表
| サービス | エージェント機能 | 必要なプラン(個人向け) | 料金の目安(月額) | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| ChatGPT | ChatGPT Work(旧Agentは終了) | Plus以上 | 3,000円〜 | 資料・レポート・簡易サイト作成、1,400以上のコネクタ |
| Claude | Computer Use/Claude Cowork/Claude in Chrome | Pro以上 | 3,000円台〜 | PC操作の代行、ファイル整理、340以上のコネクタ |
| Gemini | Project Mariner | Google AI Ultraのみ | 14,500円〜 | ブラウザ操作特化、中間プランでは利用不可 |
| Microsoft Copilot | Researcher/Analyst | Microsoft 365 Premium等 | 3,200円〜 | 社内データ横断調査、Pythonによるデータ分析 |
※料金は2026年9月時点の公表情報をもとにした目安です。為替や改定により変動する場合があります。
用途別のおすすめ
日常的な資料作成やレポート作成をまとめて任せたいなら、比較的安価なPlusプランから使えるChatGPT Workが始めやすい選択肢です。パソコン上の細かい操作そのものを自動化したい、非エンジニアでもタスクを整理したいという場合は、Claude CoworkのComputer Useが向いています。Web上の調べ物やフォーム入力など、ブラウザ作業の自動化を最優先したいならGeminiのProject Marinerが候補になりますが、Google AI Ultraへの加入が前提になるためコストは高めです。社内文書やメールなど組織のデータを横断して調査・分析したい企業ユーザーは、開発者向けにAPIでエージェントを組み込みたい場合はOpenAIのAgents APIのような選択肢もありますが、非エンジニアであればMicrosoft 365 CopilotのResearcher・Analystが有力です。
疑問点
ChatGPT Agentは今から使えるか。
OpenAIの公式案内によれば、ChatGPT Agentはすでに利用できません。同様の複数ステップの作業は「ChatGPT Work」で行う形に統合されています。
ChatGPT Atlasブラウザはどうなったか。
2026年7月9日に単独ブラウザとしての終了が発表され、同年8月9日にサービスを終了しました。ブラウザ内のエージェント機能はChatGPTデスクトップアプリに統合されています。
無料プランでもAIエージェント機能は使えるか。
今回取り上げた4サービスのいずれも、無料プランではエージェント機能はほぼ利用できないか大きく制限されています。基本的には有料プランへの加入が前提です。
どのサービスが一番安くエージェント機能を使えるか。
個人向けでは、ChatGPT WorkとClaudeのComputer Use/Coworkが月3,000円前後から利用でき、Geminiは最上位のGoogle AI Ultra(月14,500円〜)が必要になる分、割高です。
まとめ
ChatGPT Agentはすでに終了し、後継の「ChatGPT Work」に統合されています。ブラウザ版のChatGPT Atlasも役目を終え、エージェント機能はデスクトップアプリに一本化されました。一方でClaudeはComputer Use・Claude Cowork・Claude in Chromeという複数の切り口でPC操作やブラウザ操作を自動化し、GeminiはProject Mariner、Microsoft CopilotはResearcher・Analystというそれぞれ異なる強みを持つエージェント機能を提供しています。料金面ではGeminiのみ最上位プランが必須になる点が大きな分かれ目です。自分の作業内容と予算に合わせて、まずは月3,000円前後で試せるChatGPT WorkかClaudeから触ってみるのがおすすめです。
