Googleは、Geminiのカスタム機能「Gem」を終了し、新機能「スキル(Skills)」へ置き換えると発表しました。普段Gemを使って定型作業をしている方にとっては、「自分のGemはいつ使えなくなるのか」「作り直しが必要なのか」が気になるところです。
結論から言うと、個人のGoogleアカウントでは2026年11月からGemがスキルへ自動で移行され、作り直しは必須ではありません。ただし、移行後のスキルではCanvas・Deep Research・ガイド付き学習・動画作成・音楽作成が使えないため、これらと組み合わせてGemを使っている方は注意が必要です。Google Workspaceの仕事用アカウントは2027年3月1日、教育機関向けは2027年6月1日まで猶予があります。
この記事では、Googleの公式ヘルプとWorkspace管理者向けドキュメントをもとに、2026年10月4日時点の情報を整理します。
Gemからスキルへの移行スケジュール
個人のGoogleアカウント
Geminiアプリのヘルプ「Gemからスキルへの移行について」では、個人のGoogleアカウントは「2026年11月から」Gemがスキルへ移行すると案内されています。海外メディアや国内メディアの報道では、移行開始日は11月17日とされています。
移行はGoogle側で自動的に行われるため、ユーザーが何もしなくてもGemの内容はスキルとして引き継がれます。もちろん、期限を待たずに自分でスキルを作り直すこともできます。
Google Workspace(仕事用・学校用アカウント)
Workspace管理者向けのドキュメントでは、より細かい日程が公開されています。
| 日付 | 内容 |
|---|---|
| 2026年10月5日 | Workspaceでスキルの提供開始(即時リリースのドメインから順次) |
| 2026年10月13日 | Workspaceユーザー向けにGeminiアプリでスキルの提供開始(11月中旬までに完了予定) |
| 2026年11月17日 | GeminiアプリのGemが「設定」内に移動。作成・編集・利用は引き続き可能 |
| 2027年3月1日以降 | ビジネス・エンタープライズ:Gemが利用不可に |
| 2027年6月1日以降 | 教育機関:Gemが利用不可に |
Workspace Studioのワークフローで「Gemに質問(Ask Gem)」のステップを使っている場合、新規追加はできなくなり、既存のワークフローも上記の期限を過ぎると失敗するようになります。業務で自動化に組み込んでいる企業は、早めにスキルへの置き換えが必要です。
なお、同じタイミングでGoogle Labsの「Opal」と「Gems by Google Labs」も2026年11月に終了すると案内されています。
そもそも「スキル」とは?Gemとの違い
スキルは、Googleの説明では「特定の種類のタスクを、あなたのやり方で処理する方法をGeminiに教える指示と設定のセット」です。Gemが「専用のカスタムAI」を作る機能だったのに対し、スキルは普段のチャットの中で呼び出せる再利用可能な指示という位置づけです。
| 項目 | Gem | スキル |
|---|---|---|
| 使い方 | サイドバーから専用のGemを開いてチャット | 通常のチャットで「/」を入力して呼び出す(今後「@」に変更予定) |
| 複数の組み合わせ | 1回の会話で1つのGem | 複数のスキルを重ねて使える |
| 自動適用 | なし | 会話の内容に応じてGeminiが有効なスキルを自動で使うことがある |
| 参照ファイル | ナレッジファイルを添付可能 | テキスト・PDF・画像などを参照ファイルにできる(GitHubのファイルは非対応) |
| Canvas・Deep Researchなど | 使える | 現時点では使えない |
| 共有 | 可能 | 「近日対応予定」 |
たとえば、「社内向けメールの文体」スキルと「議事録の整形」スキルを同時に使う、といった組み合わせができるのがスキルの大きな特徴です。Gemのように用途ごとに別のGemを開き直す必要がありません。
この考え方は、AnthropicのClaudeが提供している「Skills」や、OpenAIがカスタムGPTの後継として打ち出した「プラグイン」とも共通しています。主要な生成AIサービスが、そろって「専用のカスタムAIを作る」方式から「再利用できる指示を通常のチャットで呼び出す」方式に移りつつあると言えます。
自動移行で引き継がれるもの・引き継がれないもの
引き継がれるもの
Workspaceのドキュメントによると、移行されたGemは作成者のスキル一覧に「無効な下書き」として表示され、次の情報が保持されます。
- 元の名前
- 説明
- カスタム指示
- アップロードしたナレッジファイル(テキスト、PDF、画像など対応形式のもの)
Gemの共有設定は、対応するスキルに引き継がれるとされています。
注意が必要な点
- 移行後のスキルは下書き(無効)状態です。作成者が内容を確認して有効化しないと使えません(Workspaceの場合)
- GitHubのファイルはスキルの参照ファイルに対応していません
- GeminiアプリとWorkspaceアプリのスキルは同期されません。両方で使いたい場合は、それぞれで作成する必要があります
- 同時に有効にできるスキルは最大100個です(作成自体は無制限)
スキルで使えなくなる機能
もっとも影響が大きいのは、Gemで使えていた一部のツールが、スキルではまだ使えないことです。公式ヘルプでは、次の機能がスキルに未対応とされています。
- Canvas
- Deep Research
- ガイド付き学習
- 動画の作成
- 音楽の作成
たとえば「Canvasで資料を作る専用Gem」や「Deep Researchで調べ物をする専用Gem」を作っている場合、スキルへ移行すると同じ使い方ができなくなる可能性があります。今後の対応については公式に明言されていないため、これらの機能はスキルを使わず通常のチャットから直接呼び出す運用を想定しておくと安心です。
また、スキルの共有、Googleドライブのファイル対応、Gemini Notebookとの連携は「近日対応予定」とされています。Gemをチームで共有して使っている場合は、共有機能の提供状況を確認しておきましょう。
スキルを使うための条件
公式ヘルプに記載されている利用条件は次の通りです。
- 18歳以上であること
- 個人のGoogleアカウントでログインしていること(仕事用・学校用アカウントは順次対応)
- 「アクティビティを保持」(Geminiアプリのアクティビティ)がオンになっていること
- 対応環境:Geminiモバイルアプリ、Mac版Geminiアプリ、gemini.google.com
スキルはGoogle AIの有料サブスクリプションがなくても通常のチャットで使えます。
注意したいのは、アクティビティの保持がオンであることが条件になっている点です。プライバシーの観点からアクティビティをオフにしている方は、スキルを使うために設定を見直す必要があります。会話データの扱いが気になる方は、生成AIの入力データは学習に使われる?ChatGPT・Claude・Gemini・Copilotのプライバシー設定を比較も参考にしてください。
スキルの作り方
スキルは主に4つの方法で作成できます。
1. チャットで作ってもらう
gemini.google.comのチャット欄で、「次の手順に沿ってスキルを作成してください」のように、やってほしい作業の手順を伝えます。Geminiが内容をもとにスキルを作成してくれます。
2. 手動で作成する
- Geminiの「設定」から「スキル」ページを開く
- 「手動で作成」をクリック
- 名前、説明、指示を入力して「作成」をクリック
既存のGemを自分で移し替える場合は、Gemの編集画面から名前・説明・カスタム指示をコピーして貼り付けるのが簡単です。
3. ファイルをアップロードする
SKILL.mdファイル、またはSKILL.mdを含むフォルダや.zipファイルをアップロードして作成できます。アップロードできるファイルの合計サイズは100MBまでです。ファイルのアップロードは現時点ではWeb版とMac版アプリが対象です。
4. おすすめのテンプレートから作る
スキルページの「おすすめ」から既存のテンプレートを選び、自分用に編集して使うこともできます。
上手なスキルの書き方
Googleの「効果的なスキルを作成する」ヘルプでは、次のようなポイントが紹介されています。
- 名前は動詞から始め、小文字とハイフンでつなぐ(例:plan-meal-from-recipe)
- 説明には「どんなときに使うか」を具体的に書く
- 毎回同じ指示を出している作業や、出力の形式を毎回直している作業をスキル化する
- 出力のテンプレートやよくある間違いを書いておく
逆に、一度きりの作業や、内容が毎回大きく変わる作業はスキルに向かないとされています。
スキルの使い方・管理方法
作成したスキルは、チャットで「/」を入力し、一覧から選ぶだけで呼び出せます。有効にしているスキルは、会話の内容に合わせてGeminiが自動で使うこともあります。
管理は「設定」→「スキル」から行います。
| 操作 | 方法 |
|---|---|
| 有効・無効の切り替え | 対象スキルの「その他」→有効/無効 |
| 編集 | スキルページで直接編集、Geminiとの会話で編集、ファイルの置き換え |
| ダウンロード | 「その他」→ダウンロード(.zip形式) |
| 削除 | 「その他」→削除(元に戻せません) |
今のうちにやっておきたい準備
自動移行されるとはいえ、次の準備をしておくと安心です。
- 使っているGemを棚卸しする:日常的に使っているGemと、ほとんど使っていないGemを分けておく
- Canvas・Deep Researchを使うGemを確認する:スキルでは同じ使い方ができないため、代わりの運用を考える
- ナレッジファイルを手元に保存する:特にGitHubのファイルは引き継がれないため、必要なら別形式で用意する
- 重要なGemは先にスキルで作り直して試す:自動移行を待たずに作り直すと、出力の違いを早めに確認できる
- Workspaceの場合はStudioのワークフローを洗い出す:「Ask Gem」ステップを使っている自動化は期限までに置き換えが必要
よくある質問
Gemは11月以降すぐに使えなくなりますか?
個人アカウントは11月から自動でスキルへ移行されます。Workspaceのアカウントでは、11月17日にGemが「設定」内に移動しますが、少なくとも2027年3月1日(教育機関は6月1日)までは引き続き作成・編集・利用ができます。
移行のために何か操作は必要ですか?
個人アカウントでは自動で移行されるため必須の操作はありません。Workspaceでは移行されたスキルが下書き状態になるため、内容を確認して有効化する必要があります。
無料で使えますか?
スキルは有料のGoogle AIサブスクリプションがなくても、通常のチャットで利用できます。
日本でも使えますか?
Googleはスキルを「Geminiのチャットでグローバルに展開中」としています。日本語ヘルプも公開されていますが、展開は段階的なため、まだ表示されていない場合はしばらく待つ必要があります。
まとめ
GeminiのGemは、2026年11月から個人アカウントで順次スキルへ置き換わります。中身は自動で引き継がれるため慌てる必要はありませんが、Canvas・Deep Researchなど一部の機能はスキルで使えない点、アクティビティの保持がオンであることが利用条件になっている点には注意が必要です。
ChatGPTのカスタムGPTも同時期に終了するなど、主要AIサービスのカスタマイズ機能は大きな転換期を迎えています。よく使うGemがある方は、提供が始まり次第スキルを試し、自分の使い方に合うかを早めに確かめておくのがおすすめです。
