結論から言うと、GitHubは2026年10月28日(米国時間)、開発者イベント「GitHub Universe 2026」で「GitHub Copilot Fusion」の一般提供(GA)を開始しました。Copilot Fusionは、タスクごとにモデルを自分で選ぶ代わりに、Copilotが複数のAIモデルを自動で選び、必要に応じて組み合わせて使う仕組みです。
ポイントは次のとおりです。
- すべてのCopilotプランで利用可能(無料のCopilot Freeを含む)
- 使える場所はVS Code、GitHub Copilotアプリ、Copilot CLI、JetBrains IDE
- 「Standard」「High」「Max」の3つの努力レベルから選ぶ
- 料金は実際に使われた各モデルの標準料金の合計。有料プランは期間限定でモデル費用が30%割引
- Fusion Maxは外部評価で「Claude Code+Opus 5.5 Max」に2ポイント差まで迫り、タスクあたりのAPIコストは約半分(GitHub発表)
9月に研究プレビューとして登場した「Project HydraFusion」が、自動モデル選択(Auto)と統合され、正式機能になった形です。
Copilot Fusionとは?
Copilot Fusionは、モデル選択欄(モデルピッカー)で選ぶ「モデルのひとつ」のように見えますが、実際には特定のモデルではありません。GitHubの説明では、タスクごとにモデルを振り分け(ルーティング)、必要に応じて複数モデルを連携(オーケストレーション)させるシステムです。
これまでGitHub Copilotでは、Claude、GPT、Geminiなど多数のモデルから自分で選ぶか、「Auto(自動モデル選択)」に任せるかのどちらかでした。Copilot Fusionはこの2つを発展させたもので、次の2つの技術を組み合わせています。
- Project HydraFusion:2026年9月に研究プレビューとして公開された、複数モデルを組み合わせる仕組み
- Copilotの自動モデル選択:タスク内容に合わせてモデルを選ぶ、チューニング済みの選択ロジック
HydraFusionの仕組みについては、GitHub Copilot「Project HydraFusion」とは?複数AIモデルを自動で使い分ける新機能の仕組みで詳しく解説しています。
3つの実行パターン
Copilot Fusionは、タスクに応じて次の3つの実行パターンを使い分けます。
| パターン | 動き | 向いている場面 |
|---|---|---|
| Single(シングル) | 1つのモデルが直接タスクを解く | 単純な修正、質問への回答 |
| Cascade(カスケード) | 効率的なモデルが下書きし、品質チェックで不十分なら強いモデルに引き継ぐ | 難易度が読みにくいタスク |
| Critique(クリティーク) | あるモデルが下書きし、別のモデルがレビュー、最初のモデルが修正する | 設計判断やバグの見落としを防ぎたいタスク |
CascadeやCritiqueは複数回モデルを呼び出すため、Singleより応答に時間がかかる場合があります。実際にどのモデルが使われたかは、応答後に努力レベル名にマウスを重ねると確認できます。
無料で使える?対象プランと利用できる場所
GitHubの公式Changelogによると、Copilot Fusionは「すべてのCopilotプラン」で利用できます。無料のCopilot Freeでも、モデルピッカーにCopilot Fusionが表示されます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象プラン | すべてのCopilotプラン(Free、Student、Pro、Pro+、Business、Enterpriseなど) |
| 対応クライアント | VS Code、GitHub Copilotアプリ、Copilot CLI、JetBrains IDE |
| 今後 | 「追加のクライアントへの対応は近日中」(GitHub) |
| 提供開始 | 2026年10月28日(米国時間) |
github.comのWeb画面やクラウドのコーディングエージェントは、現時点の対応クライアントとして明記されていません。
なお、企業・組織で使う場合は、管理者が有効にしているモデルしかFusionは使いません。使えるモデルが1つもない場合、Fusion自体がピッカーに表示されないことがあります。
Standard・High・Maxの違い
Copilot Fusionを選ぶと、努力レベル(effort level)を3段階から選べます。
| 努力レベル | 公式の説明 | おすすめの使い方 |
|---|---|---|
| Fusion Standard | 日常的なコーディング向けに、汎用的なモデルを優先 | 小さな修正、コード補足、テスト追加 |
| Fusion High | 難しいタスクや深い推論向けに、能力の高いモデルを優先 | 複数ファイルにまたがる変更、原因が分からないバグ |
| Fusion Max | 最も難しいタスクや複雑な推論向けに、最も高性能なモデルを優先 | 大規模リファクタリング、設計を伴う実装 |
一般に、レベルを上げるほど高性能なモデルや複数モデルが使われやすくなるため、消費するコストも増えやすくなります。まずはStandardで試し、結果に不満がある場合だけHighやMaxに上げる使い方が無難です。
なお、9月に追加されたAutoの3段階設定(効率・バランス・高品質)については、GitHub Copilotの自動モデル選択が3段階にで解説しています。研究プレビューでAuto、HydraFusion、HydraFusion Maxを選んでいた人の設定は、対応するCopilot Fusionの努力レベルへ自動的に移行されます。
料金は?30%割引の条件
Copilot Fusion自体に追加の月額料金はありません。ただし、課金の考え方には注意が必要です。
- Fusionを使うと、Fusionが使った各モデルについて、それぞれの標準料金で課金される
- 有料のCopilotプランでは、期間限定でFusion利用時のモデル費用が30%割引
つまり、Critiqueパターンなどで2つ以上のモデルが動いた場合は、その分の費用がそれぞれ計上されます。一方で、簡単なタスクは安価なモデルだけで済ませるため、最初から高価なモデルを固定で使うより、全体のコストは下がる可能性があります。
30%割引の終了日は、GitHubのChangelogには明記されていません。継続して使う場合は、GitHubのドキュメントや請求画面で最新の条件を確認してください。
性能は?Claude Codeとの比較
GitHubによると、Artificial Analysisの「Coding Agent Index」で、Copilot Fusion Maxは60点を記録しました。これはClaude Code(Opus 5.5 Max)から2ポイント以内のスコアです。
さらに、同等に近い結果を次の条件で出したとしています。
| 項目 | Copilot Fusion Max(Claude Code+Opus 5.5 Maxとの比較) |
|---|---|
| スコア | 60(2ポイント以内の差) |
| タスクあたりの平均APIコスト | 約半分 |
| 使用トークン数 | 約半分 |
| タスクあたりの所要時間 | 約40%短い |
一部の海外メディアは「Claude Codeに勝った」と報じていますが、GitHubの発表は「2ポイント以内」であり、総合スコアで上回ったとは述べていません。「最高性能」より「ほぼ同等の品質を半分のコストで」というのが正確な位置づけです。
各AIコーディングツールの違いは、Claude Code・Cursor・GitHub Copilot・Codex徹底比較もあわせて参考にしてください。
使い方
Copilot Fusionの使い方は簡単です。
- VS Code、GitHub Copilotアプリ、Copilot CLI、JetBrains IDEのいずれかを最新版に更新する
- Copilotチャット(またはエージェント)のモデルピッカーを開く
- 「Copilot Fusion」を選ぶ
- 努力レベル(Standard / High / Max)を選ぶ
- いつもどおりタスクを依頼する
応答後に努力レベル名へマウスを重ねると、実際に使われたモデルを確認できます。表示されない場合は、クライアントのバージョンが古いか、組織のモデルポリシーで使えるモデルが制限されている可能性があります。
企業・組織の管理者向けポイント
- Fusionは、エンタープライズ・組織のモデルポリシーで有効になっているモデルだけを使う
- 管理者は、Fusionがどのモデルから選ぶかを確認し、特定モデルをFusion用にだけ無効化できる
- Enterprise managed settingsで、Copilot Fusion(任意の努力レベル)をユーザーの既定モデルに設定できる
利用モデルを社内ルールで制限している企業でも、許可したモデルの範囲内でFusionを使える設計です。
Universe 2026のその他の主な発表
同日のGitHub Universe 2026では、Fusion以外にも次のような発表がありました。
- GitHub Copilotアプリの強化:複数リポジトリにまたがる作業を並行で進める「Copilot projects」など
- Copilot code review Max:コードレビューの新しい上位レベル
- GitHub EnterpriseにCopilotを統合:別途Copilotのサブスクリプションを買わずに、使ったAIクレジット分を支払う形で全機能を利用可能(既存のBusiness/Enterprise契約はそのまま継続可能)
- Copilot Fusionのローカルモデル対応(パブリックプレビュー):Standardレベルでローカルモデルを選択可能
まとめ
- GitHub Copilot Fusionは、Copilotがモデルを自動で選び、必要に応じて組み合わせる新機能
- 無料プランを含むすべてのCopilotプランで、VS Code・Copilotアプリ・CLI・JetBrainsから使える
- 努力レベルはStandard/High/Maxの3段階。迷ったらStandardから
- 料金は使われた各モデルの標準料金の合計。有料プランは期間限定で30%割引
- Fusion MaxはClaude Code+Opus 5.5 Maxに2ポイント差で、コストは約半分(GitHub発表)
「どのモデルを選べばいいか分からない」「コストを抑えつつ品質も確保したい」という人は、まずFusion Standardで普段のタスクを試してみるとよいでしょう。
