Windows環境で安定したファイルコピー・ディレクトリ同期・バックアップを実現したいなら、PowerShellで使えるrobocopy
(Robust File Copy)は選択肢になり得ます。
本記事では、robocopy
の基本的な使い方をまとめます。
Contents
robocopyの特徴
robocopy
はWindowsに標準搭載されており、大量のファイルコピー・差分バックアップ・ミラーリング処理など、業務用途でも利用できる高機能ツールです。
他のコピーコマンドとの違い
機能 | copy / xcopy | robocopy |
---|---|---|
サブフォルダ対応 | 一部可能 | 完全対応(空フォルダ含む) |
ネットワークコピー | 弱い | 強い(中断・再開可能) |
ミラー同期 | 不可 | 可能(/MIR) |
再試行 | 不可 | 可能(/R, /W) |
並列コピー | 不可 | 可能(/MT) |
基本構文と最小限の使用例
robocopy <コピー元> <コピー先> [ファイル指定] [オプション]
例:全ファイル・サブフォルダを含めてコピー
robocopy "C:\Projects" "D:\Backup\Projects" /E
よく使われるrobocopyの主なオプション一覧
オプション | 意味 |
---|---|
/S | サブフォルダをコピー(空フォルダ除く) |
/E | サブフォルダすべてコピー(空も含む) |
/Z | 中断再開可能なモード(不安定なネットワークで便利) |
/R:n | エラー時の再試行回数(既定:100万) |
/W:n | 再試行までの待機秒数(既定:30秒) |
/MIR | コピー元とコピー先を完全に同期(削除も反映) |
/LOG:<ファイル> | ログをファイル出力 |
/MT[:n] | マルチスレッドコピー(最大128) |
/XX | コピー先にしかないファイル・フォルダは削除しない(/MIRと併用) |
/XD <dir> | 除外ディレクトリ指定 |
/XF <file> | 除外ファイル指定 |
使用例 ログ付きでミラー同期するバックアップスクリプト
$source = "C:\Data"
$destination = "E:\Backup\Data"
$log = "C:\Logs\backup_$(Get-Date -Format 'yyyyMMdd_HHmmss').log"
robocopy $source $destination /MIR /Z /R:5 /W:10 /LOG:$log /TEE
このスクリプトは以下のようなことを実現します。
/MIR
:ミラー同期(コピー元にないものは削除)/Z
:中断再開に対応/R:5 /W:10
:エラー時に最大5回、10秒おきに再試行/LOG
:日時付きログを保存/TEE
:ログ出力と同時にコンソールにも表示
用途別実装方法
差分バックアップ(更新されたファイルだけコピー)
robocopy "C:\Source" "D:\Dest" /E /XO
/XO
:コピー先より新しいファイルだけコピー
ネットワーク越しにフォルダをバックアップ
robocopy "\\NAS\Share" "C:\LocalBackup\NAS_Share" /MIR /Z
特定ファイルだけを除外してコピー
robocopy "C:\Source" "D:\Dest" /E /XF "*.tmp" "*.log"
空のディレクトリだけを作成(ファイルは除外)
robocopy "C:\Source" "D:\Dest" /CREATE
注意点とトラブル防止策
ミラーコピー時の削除に注意!
/MIR
はコピー先にあるが、コピー元にないファイルを削除します。
誤操作によるデータ損失に要注意です。
初めて使う場合は、まずは/L
オプションで確認するとよいです。(処理せずに表示だけ)
robocopy "C:\A" "D:\B" /MIR /L
スケジュール実行にはPowerShellスクリプト+タスクスケジューラ
定期バックアップを自動化するには、robocopyを含むPowerShellスクリプトを作成し、Windowsタスクスケジューラに登録するのがおすすめです。
まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
特徴 | 高速・堅牢・多機能なファイルコピー |
利用例 | 差分バックアップ・同期・除外指定・ネットワーク転送 |
実行環境 | PowerShellまたはコマンドプロンプト |
推奨設定 | /E /Z /MT /LOG などの組み合わせ |
robocopy
は使い方さえマスターすれば、業務レベルのファイル管理を手軽に自動化できるツールです。
バックアップ、ミラーリング、差分コピーなど、さまざまな業務に役立ちます。