CAGRとは?
CAGR(Compound Annual Growth Rate)とは、ある値(売上、購入者数、投資額など)が複数年にわたり、毎年一定の割合で成長したと仮定したときの年平均成長率を表す指標です。
言い換えれば、「実際は年ごとに増減していても、もし毎年一定のペースで成長していたとしたら、その成長率は何%だったか?」を表します。
なぜCAGRを使うの?
- 成長の長期的なトレンドをつかみやすい
- 単年ごとのばらつきをならして、全体像を把握できる
- 他社や他製品との比較に強い
たとえば、売上が3年間で100→200→300のようにバラバラに伸びたとしても、CAGRを使えば「ざっくり毎年どれくらい伸びたか?」がわかります。
CAGRの2つの計算方法
CAGRの算出には大きく分けて以下の2つの定義があります。
定義① 初期値と最終値から算出
これは一般的な計算方法で、観測期間の初期値と最終値、および年数がわかれば算出できます。
数式
$${ \text{CAGR} = \left( \frac{V_{\text{end}}}{V_{\text{start}}} \right)^{\frac{1}{n}} – 1 }$$
- \(V_{\text{start}}\):初年度の値(例:2020年の売上)
- \(V_{\text{end}}\):最終年度の値(例:2024年の売上)
- \(n\):年数(例:2020年~2024年は4年間)
例
2020年の購入者数:4,100
2024年の購入者数:2,719
$$\text{CAGR} = \left( \frac{2719}{4100} \right)^{\frac{1}{4}} – 1 \approx -0.1066 = -10.66\%$$
つまり、年平均で約10.66%減少したことになります。
定義② 幾何平均を使って算出
年ごとのデータ(例:毎年の売上、毎年の購入者数など)がある場合、各年の成長率(前年からの比率)を幾何平均してCAGRとすることもできます。
数式
年ごとの成長率が \(r_1, r_2, …, r_n\) のとき
$${ \text{CAGR} = \left( r_1 \times r_2 \times \cdots \times r_n \right)^{\frac{1}{n}} – 1 }$$
または、対数を使って
$$\text{CAGR} = \exp\left( \frac{1}{n} \sum_{i=1}^n \ln(r_i) \right) – 1$$
となります。
例
購入者数が以下のように推移したとします。
年度 | 購入者数 | 成長率(前年比) |
---|---|---|
2020 | 4,100 | – |
2021 | 2,983 | 0.7276 |
2022 | 2,778 | 0.9313 |
2023 | 2,803 | 1.0090 |
2024 | 2,719 | 0.9700 |
この成長率(前年比)に対して幾何平均を計算します。
$$\text{CAGR} = (0.7276 \times 0.9313 \times 1.0090 \times 0.9700)^{1/4} – 1 \approx -0.0976 = -9.76\%$$
2つの方法の違いと使い分け
比較項目 | 初期値×最終値法 | 幾何平均法 |
---|---|---|
データ要件 | 初期と最終のみでOK | 各年の成長率が必要 |
年ごとのばらつき | 無視 | 含めて評価できる |
実用例 | 投資や売上のざっくり分析 | 詳細な統計分析や報告用資料 |
一貫性 | あり(直感的) | あり(数学的) |
まとめ
- CAGRは「毎年一定割合で成長したとしたら」という仮定で算出する指標。
- 基本は初期値と最終値から計算する方法が使われる。
- より細かなデータがあるときは、幾何平均成長率として年ごとの比率から算出も可能。
- どちらの方法も、成長傾向を理解する上で非常に有効な指標です。