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人事・採用の生成AI活用事例|LINEヤフー・パナソニック・SmartHR【2026年8月】

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生成AIの企業活用は、コールセンターや資料作成にとどまらず、人事・採用の現場にも本格的に広がっています。書類選考や面接調整といった定型業務から、採用戦略の立案支援や社内公募まで、生成AIが人事担当者の業務を下支えする場面は着実に増えてきました。本記事では、2026年に入って公表された企業の一次情報をもとに、人事・採用領域における生成AI活用事例を整理してご紹介します。導入を検討している人事担当者の方はもちろん、他部門での生成AI活用を考えている方にとっても参考になる内容です。

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人事・採用領域で生成AI活用が広がる背景

人事担当者が抱える構造的な業務負荷

人事・労務の現場では、就業規則や福利厚生に関する問い合わせ対応、求人票の作成、面接調整など、定型的でありながら件数の多い業務が積み重なっています。SmartHRのプレスリリースが引用するオウケイウェイヴ総合研究所の調査によれば、従業員が社内の調べ物に費やす時間は1日平均1.6時間にのぼるとされ、こうした「ちょっとした確認作業」の積み重ねが担当者の負担を押し上げてきました。また、店舗や工場など現場で働く従業員が多い企業では、PC端末を持たない従業員が社内規定にアクセスしづらいという課題も指摘されています。

採用から労務までを横断する活用領域

生成AIの活用領域は、大きく「採用(書類作成・面接支援・マッチング)」と「労務・タレントマネジメント(問い合わせ対応・評価・配置)」の2つに整理できます。以降では、それぞれの領域で先行する企業の取り組みを具体的にご紹介します。

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企業の生成AI活用事例

LINEヤフー:人事総務業務を横断して生成AIを組織的に展開

LINEヤフーは2026年2月、人事総務領域における生成AI活用を本格化すると発表しました。同社はすでに2025年7月、全従業員約11,000人を対象に「生成AI活用の義務化」を打ち出しており、業務特性上AI利用が難しい従業員を除き、ほぼ100%の従業員が生成AIを業務で活用しているといいます。人事総務領域では2026年春にかけて新たに10件のAI活用ツールを順次導入し、新たな生成AI活用ツールの運用により、人事総務CBU全体で月間約1,600時間以上の工数を削減することを見込んでいます。

具体的なツールとしては、アンケートなど定性データの表記ゆれ補正・分類を支援する「採用戦略検討のためのデータ整理支援」、面接官が確認すべき観点や評価基準を体系的に学べる「AI自律型面接官トレーニング」、Google Workspaceと連携した「面接日程調整の自動化」、従業員が入力した職務経験をもとに社内公募向けの職務経歴文を生成AIが整理する「社内公募活性化AI」などが挙げられます。同社は生成AIの出力をあくまで参考情報と位置づけ、最終的な判断・対応は必ず人が行うという運用ルールを明文化し、人事総務部門とAIガバナンス部門が連携してリスクベースで利用範囲を判断する枠組みを整えている点も特徴です。

パナソニックグループ:新卒採用のマッチングを支援する「AI Career Supporter」

パナソニックグループは2023年度の新卒採用活動から、生成AIを用いた学生向けの情報提供ツール「AI Career Supporter」を試験導入しています。同グループは事業会社制への移行に伴い、内定時に初期配属(事業領域・職種)を確約する採用体系を採り入れており、約150にのぼる仕事の選択肢の中から学生が自分に合うキャリアを選ぶ難しさが課題となっていました。

「AI Career Supporter」は、学生との対話を通じて学生時代の経験や強み、意識してきたことなどを整理し、その内容に基づいて事業会社や職種をレコメンドする仕組みです。従来は先輩社員との懇談を通じて行っていた”内省化支援”の一部を生成AIが代替することで、採用担当者の工数負担を軽減しつつ、学生が選考への影響を気にせず気軽に相談できる環境をつくる狙いがあります。採用担当者へのインタビューでは、レコメンドされた職種が想定内・想定外のいずれであっても、理由まで示されることで「満足だった」「視野が広がった」という声が学生から多く挙がっていると紹介されています。なお、合否判断には一切影響しないことを事前に明言した上で運用している点も、生成AIを人生の重要な意思決定に関わる場面で使う際の配慮として参考になります。

パーソルキャリア:求人票自動作成アプリでリードタイムを短縮

転職サービス「doda」を運営するパーソルキャリアは2026年5月、リクルーティングアドバイザー領域の社内業務向けに、生成AIを活用した「求人票自動作成アプリ」を開発したと発表しました。企業が利用する採用管理システム(ATS)から新規求人ニーズを把握して必要な情報を自動収集し、同一条件下の公開済み求人票を参照しながら、LLMとルールベースの仕組みを組み合わせて求人票を自動作成します。

自動作成された求人票は、リクルーティングアドバイザーによる磨き込み・最終確認と、「doda」の掲載基準や男女雇用機会均等法・職業安定法といった法令順守の観点からの審査を経て公開される運用です。「求人票自動作成アプリ」を活用した新規取引企業の求人を対象とした分析では、求人票公開までのリードタイムが平均0.85日短縮される傾向が確認されました。企業には求人票公開までのスピードと品質の安定化を、転職希望者にはより新しい求人情報を届けることで、両者のマッチング精度向上を目指すとしています。

SmartHR:問い合わせ対応と人材配置を支援するAI機能

クラウド人事労務ソフト「SmartHR」を提供する株式会社SmartHRは2025年6月、就業規則やマニュアルをもとに従業員からの問い合わせに自動回答する「AIアシスタント」機能の提供を開始しました。管理部門が事前にアップロードした資料をもとに、従業員がホーム画面の検索バーやスマートフォン向けアプリからチャット形式で質問できる仕組みで、店舗や工場などPC端末を持たない従業員も含め、時間や場所を問わず必要な情報にアクセスできるようになります。導入企業からは「深夜や土日など本社の開いていない時間帯でも一次対応ができる体制が整った」「回答の引用元となる資料が明記されるため安心して活用できる」といった声が寄せられています。

さらにSmartHRは同年12月、蓄積された従業員データをAIが分析し、異動や配置転換の際に条件に近い人材を提案する「AI類似従業員検索」機能も追加しました。問い合わせ対応の自動化にとどまらず、タレントマネジメントの領域まで生成AIの活用を広げている点が特徴です。なお、AIによる社内問い合わせへの自動応答という切り口では、生成AI活用事例|問い合わせ対応・カスタマーサポート編【2026年8月】で取り上げたKDDIやソフトバンクの事例とも共通する部分が多く、あわせて読むことで社内外双方への応用イメージがつかみやすくなります。

転職者側でも進む生成AI活用

生成AIの活用は企業の人事部門だけでなく、転職を検討する個人にも広がっています。株式会社アイデムの調査によると、求職活動で生成AIを活用した経験がある人は41.8%にのぼり、利用場面としては「履歴書・職務経歴書の作成・添削」が22.6%で最多となりました。こうした流れを受け、パーソルキャリアが運営する転職支援サービス「リクルートダイレクトスカウト」では、選択式の質問に答えていくだけで職務経歴書を自動作成できる機能が提供されており、企業側だけでなく求職者側の体験にも生成AIが組み込まれ始めています。

生成AI活用の効果と、見えてきた課題

パーソル総合研究所が2026年2月に発表した「生成AIとはたらき方に関する実態調査」では、生成AIを活用した業務の平均所要時間は、未利用時と比較して利用時に平均16.7%(26.4分/週)削減されたと報告されています。金融業界の生成AI活用事例まとめでも触れているように、業務プロセスの一部を生成AIに置き換える動きは業種を問わず広がっていますが、同調査では実際に業務時間の削減を実感できているのは、生成AI利用者のうち、業務時間が削減できている人は25.4%にとどまっていました

同調査が指摘する主な要因は、活用している人の少なさと用途の狭さ、普及にかかるコストが一部の担当者に偏っていること、そして削減できた時間の多くが日常業務に吸収されてしまっていることの3点です。生成AIの業務利用人口は推計で約1,840万人(32.4%)に達したものの、週4日以上使いこなす「ヘビーユーザー」は11.7%にとどまるとされ、人事・採用領域においても、一部の先行事例だけでなく組織全体への定着をどう図るかが今後の課題といえそうです。

人事・採用領域で生成AIを導入する際のポイント

ガバナンス体制を先に整備する

LINEヤフーの事例のように、人事総務部門とAIガバナンス部門が連携し、業務内容や扱う情報、対象者への影響度に応じてリスクベースで利用範囲と運用方法を判断する枠組みを先に整えることが、その後の全社展開をスムーズにする鍵になります。社内ガイドラインの整備や周知・教育、情報管理・セキュリティ面の統制まで含めて設計しておくと、導入後の運用も安定しやすくなります。

合否判断や評価は必ず人が行う

採用の合否、異動の決定、人事評価のフィードバックといった従業員の処遇に直結する場面では、生成AIの出力を「参考情報」として位置づけ、最終判断は担当者が責任を持って行う体制が欠かせません。LINEヤフーやパナソニックグループの事例でも、学生・従業員に対して「合否には一切影響しない」ことを事前に明示するなど、この原則が明確に打ち出されています。

スモールスタートで効果を可視化する

パーソルキャリアの求人票自動作成アプリのように、特定の業務・特定の指標(リードタイムなど)に絞って効果を測定し、成果を確認しながら適用範囲を広げていくアプローチは、他部門でも再現しやすい進め方です。効果が見えにくいまま全社展開を急ぐと、パーソル総合研究所の調査が示すように「削減できた時間が日常業務に吸収される」状態に陥りやすいため、定量的なKPIを最初に決めておくことが重要です。

まとめ

人事・採用領域における生成AI活用は、採用戦略の立案支援や面接官トレーニングといった「攻め」の領域と、問い合わせ対応や求人票作成といった「守り」の領域の両面で進んでいます。LINEヤフー、パナソニックグループ、パーソルキャリア、SmartHRの事例に共通しているのは、生成AIをあくまで人の判断を支援する存在と位置づけ、ガバナンスを整えたうえで段階的に適用範囲を広げている点です。自社での導入を検討する際は、まずは効果測定がしやすい定型業務から着手し、合否判断など重要な意思決定には必ず人が関与する体制を維持することが、成功への近道になりそうです。

参考サイト

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