Anthropicは2026年8月26日、Claude Cowork(デスクトップアプリ内の作業実行機能)に、Claude専用の内蔵ブラウザを追加したと発表しました。拡張機能のインストールや個別設定なしに、Claudeがサイドパネルでウェブサイトを開き、ページを読んだりクリックしたり入力したりできるようになる機能です。
結論:Enterpriseは9月10日から自動でオンになります
ここで押さえておきたいのは提供スケジュールです。Claude公式ヘルプセンターによると、Teamプランでは内蔵ブラウザは展開に合わせて既定オンになっていますが、Enterpriseプランでは発表時点ではオフになっており、2026年9月10日から既定オンへ自動的に切り替わります。オフのままにしたい場合は、9月10日より前に管理者が明示的に設定を変更しておく必要があります。何もしなければ、組織のポリシー次第でユーザーがブラウザ経由のウェブ操作をClaudeに任せられるようになる、という点がこの変更の要点です。
本記事では、内蔵ブラウザの概要と、以前からある「Claude in Chrome」との違い、提供プランごとの展開状況、そしてEnterprise管理者が期限までに確認しておくべき設定とセキュリティ上の注意点を、Anthropic公式情報に基づいて整理します。
Claude Cowork内蔵ブラウザとは何か
サイドパネルで動くClaude専用のブラウザ
内蔵ブラウザは、Claude Desktopアプリの中に組み込まれた専用ブラウザです。ウェブサイトの操作が必要なタスクをClaudeに依頼すると、サイドパネルにブラウザが自動的に開き、Claudeがページの閲覧、クリック、フォームへの入力といった操作を行います。拡張機能のインストールやセットアップは不要です。
重要なのは、これが「Claude自身のブラウザ」であり、ユーザーが普段使っているブラウザとは完全に別物であるという点です。Claudeはユーザーのタブやブックマーク、保存済みパスワードを一切参照しません。特定のサイトにログインした状態で作業させたい場合は、Chrome・Edge・Firefox(macOS)またはFirefox(Windows・Linux)から、サイトごとにログイン情報を個別に持ち込む形になります。銀行やメール、シングルサインオン(SSO)を使うサイトは、ユーザーが明示的に含めない限り対象から除外されます。
対応環境
内蔵ブラウザは、Claude DesktopアプリのmacOS版・Windows版・Linux版(ベータ)で利用できます。デスクトップアプリが起動してオンラインである必要があり、ウェブ版やモバイル版から操作する場合も、裏でデスクトップアプリが動いていることが前提になります。ウェブ版・モバイル版に加え、Claude in Chromeのサイドパネルという利用面もあり、それぞれ提供プランや展開状況が微妙に異なります。
Claude in Chromeとの違い・使い分け
Claude Coworkがウェブを扱う方法には、今回追加された「内蔵ブラウザ」と、以前から提供されている拡張機能「Claude in Chrome」の2つがあります。両者は役割が異なるため、管理者は「どちらを有効にするか」「両方有効にするか」を判断する必要があります。内蔵ブラウザとClaude in Chromeは、同じ安全対策(高リスクサイトのブロックリストと行動ごとの安全チェック)を共有していますが、動作するブラウザそのものが別物です。
| 項目 | 内蔵ブラウザ | Claude in Chrome |
|---|---|---|
| 実体 | Claude Desktopアプリ内の専用ブラウザ | Google Chromeの拡張機能 |
| 必要なもの | Claude Desktopアプリが起動・オンライン | ユーザーのChromeに拡張機能をインストール |
| ログイン・タブ | ユーザーの既存ブラウザとは独立、サイトごとに個別ログイン | ユーザーが普段使っているタブ・ログイン状態をそのまま利用 |
| 向いている用途 | 独立した調査、コネクタがないポータルからのデータ収集、フォーム入力の代行 | 今開いているページの続きの作業(CRM更新、受信箱の処理、開いているドキュメントの編集など) |
| 安全対策 | 高リスクサイトのブロックリスト、行動ごとの安全チェック | 同じブロックリスト・安全チェックを共有 |
| 管理設定場所 | Organization settings > Cowork | Organization settings > Claude in Chrome |
すでにClaude in Chromeを使っている組織では、Claude in Chromeが引き続き既定のブラウザとして扱われます。両方を有効化しておき、ユーザー側の設定(Settings > Cowork > Preferred browser)で優先ブラウザを切り替えることも可能です。管理者は自組織の用途に応じて、内蔵ブラウザ・Claude in Chrome・両方・どちらも無効、のいずれかを選択できます。
提供プランと展開スケジュール
Claude公式ヘルプセンターに基づく、内蔵ブラウザの提供状況とスケジュールは次の通りです。
| プラン | 既定状態 | 備考 |
|---|---|---|
| Pro・Max(個人向け) | 順次展開 | Claude Desktopアプリで利用可能。個人ユーザーが設定でオン・オフを切り替え |
| Team | 既定オン | 発表週から展開中。組織のオーナーはいつでもオフに変更可能 |
| Enterprise | 発表時オフ→9月10日から既定オン | 管理者が明示的にオフへ変更していない限り、9月10日を境に自動でオンになる |
Enterprise管理者にとって重要なのは、この「9月10日」という日付が単なる目安ではなく、Anthropicが公式ヘルプセンターで明記している具体的な切り替え日である点です。組織として内蔵ブラウザの利用を許可するかどうかをまだ検討していない場合、判断を先延ばしにするほど「気づいたらオンになっていた」という状況になりやすいため、早めの確認が推奨されます。
Enterprise管理者が9月10日までに確認すべきこと
1. 設定画面の場所を確認する
内蔵ブラウザのオン・オフは、Claudeの管理画面「Organization settings > Cowork」から設定します。Cowork機能全体のオン・オフとは別に、内蔵ブラウザ専用のトグルが用意されているため、「Coworkは使わせたいが内蔵ブラウザだけはオフにしたい」といった細かい制御も可能です。オフにすると、ユーザーは内蔵ブラウザを開けなくなり、Claudeもそれを利用できなくなります。
2. Cowork自体の設定と混同しない
Claude Coworkには、内蔵ブラウザ以外にも複数の管理設定があります。たとえば「Coworkをクラウドで実行するか」という設定は別のトグルで管理されており、Teamプランでは既定オン、Enterpriseプランでは既定オフとなっています。内蔵ブラウザの既定オン化(9月10日)と、Coworkのクラウド実行設定は独立した項目なので、どちらの設定を変更しているのか混同しないよう注意が必要です。
3. ネットワークアクセス設定との関係を理解する
組織によっては、コード実行時のネットワークアクセスを許可ドメインだけに制限している場合があります。ここで注意したいのは、こうしたネットワークの許可・遮断設定は、Web取得(web fetch)ツールやWeb検索ツール、MCP、そしてClaude in Chromeには適用されないという点です。Web取得はサーバー側で実行され、検索結果やユーザーが共有したURLに限定される仕組みのため、コード実行のネットワーク制限とは別の管理単位として扱う必要があります。Web検索自体を無効にしたい場合は、「Organization settings > Capabilities」から個別にオフにできます。
4. 自組織のポリシーとして許容範囲を判断する
内蔵ブラウザを許可するかどうかは、最終的には各組織のリスク許容度の問題です。エージェントが未知のウェブページを自律的に操作するという性質上、後述するプロンプトインジェクションのリスクをどう評価するかが判断の分かれ目になります。判断が済んでいない場合は、9月10日を待たずに一旦オフに設定し、社内での検討後に必要なタイミングでオンにする、という運用も選択肢です。
セキュリティ上の注意点
Claude公式ヘルプセンターは、Coworkのエージェント的な性質とインターネットアクセスに起因するリスクとして、プロンプトインジェクション(ウェブページに埋め込まれた指示によってClaudeの挙動が意図せず操作されるリスク)を明示的に挙げています。モデルの訓練や分類器による対策を実施しているものの、リスクがゼロではないとした上で、次のような利用上の注意を呼びかけています。
- 機密情報を含むファイルへのアクセス権限を、必要以上にClaudeへ与えないこと
- Claudeの挙動に不審な点がないか監視すること
- ブラウザ・ウェブアクセスは信頼できるサイトに限定すること
- 不審な挙動を発見した場合は速やかに報告すること
内蔵ブラウザとClaude in Chromeは、高リスクサイトに対するブロックリストと、Claudeの行動ひとつひとつに対する安全チェックという同じ安全対策を共有しています。ただし、これらの対策はリスクを大きく低減するものであり、完全に排除するものではないと公式にも明記されている点は理解しておく必要があります。特に、初めて内蔵ブラウザを使う場合は、まず信頼できる社内ポータルや既知のサイトから試すことが推奨されます。
個人ユーザー(Pro・Maxプラン)が知っておきたいこと
企業の管理者向けの話が中心になりましたが、個人でPro・Maxプランを契約しているユーザーにとっても、内蔵ブラウザは今後のCowork活用に関わる変更です。Claude Desktopアプリの設定から「Cowork」を開き、「Preferred browser(優先ブラウザ)」の項目で、内蔵ブラウザとClaude in Chromeのどちらを優先的に使うかをいつでも切り替えられます。すでにClaude in Chromeを使い慣れている場合は、そのままClaude in Chromeが既定として動作し続けるため、急いで設定を変更する必要はありません。一方で、コネクタが用意されていない社内ポータルや、普段開いていないサイトの調査を任せたい場合には、内蔵ブラウザの方が適しています。
疑問点
Q. 内蔵ブラウザは無料プランでも使えるか。
A. いいえ。Cowork自体がPro・Max・Team・Enterpriseの有料プランで提供される機能であり、内蔵ブラウザもこれらのプランが対象です。
Q. Enterpriseで9月10日を過ぎるとどうなるか。
A. 管理者が事前にオフへ設定していない限り、内蔵ブラウザが自動的に既定オンへ切り替わります。ユーザーはウェブ操作が必要なタスクを依頼した際に、内蔵ブラウザが自動的に開くようになります。
Q. Claude in Chromeと内蔵ブラウザを両方使うことはできるか。
A. 管理者はそれぞれ独立してオン・オフを設定でき、ユーザー側でもどちらを優先するかを選べます。すでにClaude in Chromeを導入済みの組織は、両方を有効にしたまま使い分けることも可能です。
Q. 内蔵ブラウザをオフにすると、Coworkの他の機能にも影響するか。
A. 内蔵ブラウザのトグルはCowork全体のオン・オフとは独立した設定であり、オフにしてもファイル操作やスケジュールタスクなど他のCowork機能は通常通り利用できます。
まとめ
Claude Coworkの内蔵ブラウザは、拡張機能なしでClaudeにウェブ操作を任せられる新機能として2026年8月26日に発表され、Teamプランではすでに既定オンとして展開されています。焦点となるのはEnterpriseプランで、発表時点ではオフだったものが2026年9月10日から自動的に既定オンへ切り替わる予定です。管理者は「Organization settings > Cowork」の設定画面を確認し、内蔵ブラウザを許可するかどうかを期限までに判断しておく必要があります。既存のClaude in Chromeとは仕組みも用途も異なるため、両者の違いを理解した上で、自組織のセキュリティポリシーやネットワークアクセス設定と照らし合わせながら、9月10日までに対応方針を固めておくことをおすすめします。
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