ステークホルダーとは?
ビジネスやプロジェクトの現場でよく耳にする「ステークホルダー(stakeholder)」という言葉。
日本語では「利害関係者」という言葉で表現されることが多いです。
これは、プロジェクトや活動に直接・間接的に関わり、影響を受ける可能性のあるすべての個人や団体を指します。
たとえば、次のような人々がステークホルダーとなります。
- クライアント・顧客
- 社内の上司や同僚、他部署
- 経営層
- サプライヤーやパートナー企業
- エンドユーザー
- 地域住民(場合によって)
ステークホルダーマップとは?
ステークホルダーマップ(stakeholder map) とは、これらのステークホルダーを可視化し、「誰がどのような立場でプロジェクトに関わるのか」を整理した図やマトリクスのことです。
プロジェクトをスムーズに進行させるためには、各ステークホルダーの影響力や関心度を把握し、適切な対応を取ることが不可欠です。
なぜステークホルダーマップが必要なのか?
コミュニケーションの優先順位が明確になる
限られたリソースの中で、すべての人に同じ対応をするのは非現実的です。
ステークホルダーマップを作成することで、「誰に頻繁に情報を共有すべきか」「誰に最終承認を取る必要があるか」が明確になります。
潜在的なリスクの予防につながる
影響力が強く、かつ関心も高い人物(例:役員や重要顧客)への対応を怠ると、プロジェクトが頓挫することもあります。
マップによりそうした人物を早期に特定し、対応を考えることでリスクを未然に防げます。
利害関係のバランスを取れる
複数のステークホルダーが異なるニーズや期待を持っている場合、その調整は非常に重要です。
マップは「全体像を俯瞰するツール」として有効です。
ステークホルダーマップの作り方
一般的な手順は以下の通りです。
ステップ1:ステークホルダーを洗い出す
ブレインストーミングや過去の類似プロジェクトのレビュー、関係者インタビューを通じて、影響を受ける可能性のある人物や団体を網羅的にリストアップします。
ステップ2:影響力と関心度でマッピングする
よく用いられるのが「影響力×関心度」の2軸マトリクスです。
関心度が高い | 関心度が低い | |
---|---|---|
影響力が高い | 綿密に関与・説得が必要(戦略的パートナー) | 状況に応じて情報共有(要注意人物) |
影響力が低い | 定期的な情報提供で良い | 最低限の情報共有でOK |
この分類により、対応方針が整理されます。
ステップ3:対応戦略を決める
たとえば以下のようにアクションを整理します。
- 積極的に巻き込む:プロジェクトの推進に不可欠なキーパーソン
- 情報を共有して信頼を維持する:関心は高いが影響力は低めの人々
- 必要に応じて報告:影響力はあるが関心は低い、上層部など
- モニタリング:現時点では関与が薄いが、将来的に影響を及ぼす可能性がある人々
活用例 新製品開発の場合
ある企業が新製品を開発するプロジェクトを進める場合、次のようなステークホルダーマップが考えられます。
- 経営陣
影響力・関心度ともに高い - マーケティング部門
関心度が高く、提案に積極的 - 生産部門
影響力は高いが関心はやや低め - エンドユーザー
直接的な影響はないが、フィードバックが重要
これらをマッピングし、それぞれに最適な関与レベルを設定することで、円滑なプロジェクト遂行が期待できます。
注意点
薄々感じている方もいらっしゃると思いますが、「関心度が低い」組織や人が書かれているので、多くの社員がアクセスできるフォルダなどには入れておかない方がよいです。
プロジェクトのコアメンバーだけで共有するようにしましょう。
まとめ
ステークホルダーマップは、プロジェクト成功のカギを握る重要な分析ツールです。関係者の利害を理解し、適切な関与を促すことで、トラブルの回避や合意形成が容易になります。