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小売業界の生成AI活用事例|コンビニ・スーパー・EC【2026年8月】

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コンビニ、スーパー、ECサイトなど、私たちの生活に最も身近な小売業界でも、2026年に入り生成AIの活用が本格化しています。これまでは本部の事務作業やマーケティング分析での利用が中心でしたが、最近では店舗の従業員が生成AIチャットボットに直接質問して業務マニュアルを検索したり、ECサイトの商品検索そのものを生成AIエージェントが担ったりする事例が増えてきました。金融業界における生成AI活用の全体像は金融業界の生成AI活用事例まとめでも取り上げていますが、小売業界は店舗数・従業員数の多さから、全社規模での展開効果が数値として表れやすいという特徴があります。

この記事では、2025年から2026年にかけて発表されたコンビニ大手3社、スーパー、EC、コンタクトセンターの生成AI活用事例を、企業名・数値を含めてまとめます。自社の店舗運営やカスタマーサポート業務に生成AIをどう取り入れるかを検討する際のヒントとしてお役立ていただければと思います。

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コンビニ大手3社が進める生成AI活用

コンビニエンスストアは全国に数千から数万店舗を展開しており、店舗従業員・本部社員あわせて数万人規模で業務が行われています。この規模の大きさゆえに、生成AI導入による業務効率化の効果も大きくなりやすく、大手3社がそれぞれ異なるアプローチで生成AI活用を進めています。

セブン-イレブン・ジャパン|13種類のLLMを使い分ける全社基盤「AIライブラリー」

セブン-イレブン・ジャパンは、Google Cloud上に構築した生成AI基盤「セブン-イレブンAIライブラリー」を2023年8月から運用しており、2024年9月には他本部を含めた全面的な活用が可能になりました。最大の特徴は、Anthropicの「Claude」シリーズ、Googleの「Gemini」シリーズ、OpenAIの「GPT」シリーズなど13種類もの大規模言語モデルを、業務内容や用途に応じて社員自身が選んで使い分けられる点です。画像生成モデルとして「Imagen」「DALL・E」も利用できるとされています。

2025年6月時点では、20部門・約4,000人の社員が議事録や稟議書の作成、商品開発、POSデータやSNSデータの分析といった業務に日常的に活用しており、セブン-イレブン・ジャパンは2025年8月をメドに、13種類の大規模言語モデルを使い分けられる生成AI基盤「AIライブラリー」を全社員約8,000人に展開する計画を進めています(日経クロステックなどの報道による)。単一のAIサービスに依存せず、業務の性質に応じて最適なモデルを選択できる「マルチモデル基盤」としての位置づけは、今後ほかの小売企業にとっても参考になる設計思想といえるでしょう。

なお、セブン-イレブン・ジャパンはAIを活用した発注支援システムを2020年1月から全国約21,000店舗に導入しており、AIによる需要予測と自動発注機能によって発注にかかる時間を最大4割削減しているとも報じられています。生成AI以前から培ってきたAI活用のノウハウが、今回の全社基盤の展開を後押ししている面もありそうです。

ファミリーマート|人型AIアシスタント「レイチェル/アキラ」と全社的な業務効率化

ファミリーマートは2023年1月から、店舗運営に必要な情報をスピーディに提供する人型AIアシスタント「レイチェル/アキラ」の導入を進めており、2024年7月末時点で約7,000店舗に展開されています。2024年7月には、このレイチェル/アキラに生成AIを搭載し、レジ操作・ストアスタッフ育成・機器操作・労務管理・緊急時対応といった業務マニュアルを音声で検索できるようにしたほか、過去の割引・クーポン企画の販売実績を参照できる機能も追加しました(2024年8月2日付ニュースリリースより)。

これに先立つ2024年4月18日には、社内向けの生成AI活用に関するニュースリリースも発表されています。2023年12月からの3カ月間、アンケート集計作業、社内文書・社員教育資料の作成、スーパーバイザー(SV)から本部担当者への問い合わせ対応といった業務を対象に生成AI活用の実証実験を行った結果、ファミリーマートは2023年12月からの3カ月間の実証実験の結果、関連業務の作業時間が約50%削減される見込みであることを確認しました。全社横断の「生成AIプロジェクト」には50人のプロジェクトメンバーが参加し、セキュリティ・レギュレーション作成やQ&A自動回答、文書作成・要約、法令・リスクの洗い出しなど6つの領域で効果検証を進めているとのことです。店舗の現場業務と本部のバックオフィス業務の両面から、生成AI活用を段階的に広げている点が特徴といえます。

ローソン|全社員約4,000人に生成AI活用を開放

ローソンは2024年夏、本社の全社員約4,000人が業務で生成AIを利用できる体制を整えたと報じられています(日本経済新聞の報道による)。商品開発のアイデア創出や会議の要約、メール文章の作成といった、これまで時間と労力を要していた作業をAIで効率化する狙いで、業務時間を半減させることを目標に掲げているといいます。今後は文章だけでなく、画像や音声生成にも活用範囲を広げていく方針とされています。

セブン-イレブン・ジャパンが専門部門から段階的に展開したのに対し、ローソンは早い段階で全社員への権限開放に踏み切った点が対照的です。どちらのアプローチにも一長一短があり、自社の組織文化やガバナンス体制に応じてどちらのモデルを選ぶかは重要な経営判断になりそうです。

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スーパー・GMSにおける生成AI活用事例

コンビニに続き、総合スーパー(GMS)でも生成AIを使った従業員支援の取り組みが広がっています。

イオンリテール|約390店舗に生成AI搭載「AIアシスタント」を導入

イオンリテールは2025年6月、生成AIを活用した「AIアシスタント」を約390店舗に実装しました(イオン株式会社が2025年5月15日に公式発表)。展開店舗は関東・北陸信越・東海・近畿・中四国の「イオン」「イオンスタイル」などです。

このAIアシスタントは、これまで合計数千~数万ページにわたって文書化されていた業務マニュアルや法律を学習しており、従業員の質問に対して音声や文字で回答を提示する「次世代型の従業員マニュアル」と位置づけられています。初期実装では、イオンラウンジの利用方法、免税対応、拾得物対応、公共料金の支払い、株主優待制度の説明など、店舗でお客さまから尋ねられることの多い事項に対応しており、今後のアップデートで応答できる範囲を広げていく方針です。新人や若手従業員が、経験の浅い業務でもスムーズに対応できるようになることで、業務習熟のスピード向上も期待されています。

ECサイト運営における生成AI活用事例

店舗を持つ小売業だけでなく、ECサイト運営においても生成AIを活用した購買体験の刷新が進んでいます。

楽天市場|エージェント型AI「Rakuten AI」による商品検索サポート

楽天グループは2026年1月5日、運営する「楽天市場」のスマートフォンアプリに、エージェント型AIツール「Rakuten AI」を搭載したと発表しました(楽天グループ公式プレスリリースより)。アプリのホーム画面右下にあるアイコンからアクセスし、希望予算・購入目的・活用シーンなどをテキスト・音声・画像で入力すると、楽天市場のAIコンシェルジュを使うと、約5億点の商品群の中から、予算や購入目的、活用シーンをテキスト・音声・画像で伝えるだけで理想の商品を見つけられます

対話を重ねることでユーザー自身も気づいていなかった潜在的なニーズが明らかになりやすくなるほか、気候や流行、社会情勢といった世の中のトレンドもウェブの自然検索結果から反映されるため、単なるキーワード検索とは異なる「ディスカバリーショッピング体験」を提供する点が特徴です。楽天グループは「AI-nization(エーアイナイゼーション)」を掲げてビジネス全体でAI活用を推進しており、今後はユーザーのマーケティングデータも活用しながら、提案精度をさらに高めていく方針です。EC事業者にとっては、検索機能そのものを生成AIエージェントに置き換えていく流れが、今後の商品ディスカバリー体験の標準になっていく可能性を示す事例といえるでしょう。

カスタマーサポート・コンタクトセンターの生成AI活用事例

小売業では、店舗やECだけでなく、電話・チャットによる問い合わせ対応の現場でも生成AI活用が進んでいます。

ニトリ×ギブリー|生成AI活用のコンタクトセンター改革プロジェクト

家具・インテリアのSPA企業であるニトリは、AI活用支援を手がける株式会社ギブリーと共同で、2024年からコンタクトセンター改革プロジェクトを推進しています。生成AI技術と次世代型のナレッジベースを組み合わせ、チャネル統合型のデータベース構築、構想設計から基盤構築・業務オペレーション設計までを一貫して進めているのが特徴です。プロジェクトでは、チャットボットやFAQサイト、ビジュアルIVR(音声自動応答)を順次リリースし、2025年春には商品単位の質問に対して生成AIが自動で回答する機能の提供開始を目指すとしています(株式会社ギブリー公式プレスリリースより)。取り組みの成果として、約30人分の業務工数削減が実現し、削減できたリソースを高付加価値業務へ再配置できたと報告されています。

問い合わせ対応・カスタマーサポート領域における生成AI活用の全体的な動向は、生成AI活用事例まとめ|問い合わせ対応・カスタマーサポート編でも、通信・金融業界の事例を中心に詳しく取り上げていますので、あわせてご覧ください。小売業のコンタクトセンターは、商品点数が非常に多く、問い合わせ内容も多岐にわたるという特性があり、ナレッジベースの整備と生成AIの回答精度向上をどう両立させるかが導入の鍵になっているようです。

小売業界における生成AI活用の共通点と今後の展望

ここまで紹介してきた6つの事例を振り返ると、業態は異なっていても共通する傾向がいくつか見えてきます。

現場のマニュアル・ナレッジ検索から始まる導入プロセス

ファミリーマートの「レイチェル/アキラ」やイオンリテールの「AIアシスタント」に共通するのは、いずれも「従業員が業務マニュアルを素早く検索できるようにする」というシンプルな用途から導入が始まっている点です。小売業の現場は、パート・アルバイトを含む多くの従業員が入れ替わりながら働く環境であり、紙や電子マニュアルを事前に読み込む時間を確保しにくいという課題があります。生成AIチャットボットに質問すればすぐに答えが返ってくる仕組みは、こうした現場の実情に合った導入の入り口といえそうです。

全社展開におけるガバナンスとモデル選定の重要性

一方で、セブン-イレブン・ジャパンのように13種類のLLMを使い分ける仕組みを整えたり、ローソンのように全社員へ一気に権限を開放したりと、全社展開の進め方には各社の個性が表れています。従業員数が数千人から数万人規模になる小売企業では、どのAIモデルをどの業務に使わせるか、利用ログやセキュリティをどう管理するかといったガバナンス設計が、生成AI活用の成否を分ける重要な論点になっています。楽天市場やニトリの事例のように、顧客接点そのものに生成AIを組み込む動きも本格化しており、今後は「業務効率化」と「顧客体験の向上」の両輪で、小売業界の生成AI活用がさらに広がっていくことが見込まれます。

まとめ

小売業界では、コンビニ3社(セブン-イレブン・ジャパン、ファミリーマート、ローソン)による従業員向け生成AI活用、イオンリテールのスーパー店舗向けAIアシスタント、楽天市場のエージェント型AI「Rakuten AI」によるEC商品検索、ニトリ×ギブリーのコンタクトセンター改革と、業態を問わず幅広い領域で生成AI導入が進んでいます。いずれの事例も、現場従業員やユーザーが「質問すればすぐに答えが返ってくる」というシンプルな体験を起点に、業務効率化や顧客体験の向上につなげている点が共通しています。自社の店舗運営やカスタマーサポート業務に生成AIを取り入れる際は、まずは現場のマニュアル検索や問い合わせ対応など、効果を測定しやすい業務から着手し、段階的に対象範囲を広げていくアプローチが参考になりそうです。

参考サイト

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