2026年9月10日、OpenAIはChatGPTの自然な音声会話を支えてきた音声モデル「GPT‑Live‑1」をAPIとして一般提供を開始したと公式ブログで発表しました。結論から言うと、GPT‑Live‑1は「聞きながら話す」ことができる全二重(フルデュプレックス)型の音声モデルで、料金は音声レイヤー部分のみで1分あたり0.05ドルとシンプルに設定されています。ChatGPTアプリでは7月から既定の音声モデルとして使われていましたが、今回のAPI公開によって、開発者が自分のアプリや電話窓口に同じ音声体験をそのまま組み込めるようになりました。この記事では、GPT‑Live‑1の特徴、料金、ChatGPTの音声モードとの関係、競合サービスとの違い、使い方の基本的な流れを整理します。
GPT-Live-1とは何か
GPT‑Live‑1は、音声を「聞く」処理と「話す」処理を1つのモデルで同時にこなす全二重型の音声モデルです。従来型の音声エージェントは、音声認識(STT)・言語モデルによる応答生成・音声合成(TTS)という3段階を連携させる「カスケード方式」が主流でしたが、各段階のつなぎ目で遅延が発生しやすく、相手の割り込みや言い淀みへの対応も不自然になりがちでした。GPT‑Live‑1は、入力される音声と出力する音声を1つのモデルがまとめて扱うことで、こうした段階間の遅延や不自然な間を減らしている点が特徴です。
OpenAIによると、言語学習アプリ「Speak」の早期評価では、従来のターン制の音声システムと比べて、学習者が考えている間の割り込みを約80%削減できたといいます。また、レストラン予約サービス「Yelp」では、電話応対で通話対応率の向上や、利用者がより自然で長い文章で話すようになったといった効果も報告されています。
主な特徴・強み
GPT‑Live‑1のAPI版には、開発者が音声体験をカスタマイズしやすくするための機能が用意されています。第一に、割り込みへの対応です。入ってくる音声と出す音声を同じモデルが同時に処理するため、STT・LLM・TTSを連携させる従来方式にありがちな遅延や不自然な引き継ぎを避けられるとしています。第二に、推論とツール呼び出しの委任です。GPT‑Live‑1自体は音声のやり取りに専念し、複雑な判断が必要な場面ではGPT-6 Astraなどのバックエンドモデルや外部ツールに処理を委任できます。第三に、トーン・話す速さ・話し方をシステムプロンプトで指定できる点です。第四に、無音や環境音への対応で、雑音や沈黙があっても会話を止めたり逐一状況を説明したりしないよう調整されています。第五に、長時間セッションでの文脈保持の改善です。そして第六に、電話回線を使った音声対応(テレフォニー)への対応で、レストラン予約からカスタマーサポートまで、電話越しの全二重音声エージェントを構築できます。
性能面では、独自の評価指標「Full Duplex Bench」において、前世代の「GPT-Realtime-2.1」より30ポイント高いスコアを記録したとしています。また、GPT-6 Astra(中程度の推論設定)と組み合わせた場合、音声エージェントの実務的な対応力を測る「Tau3」ベンチマークで1位になったと説明されています。
料金・提供状況
GPT‑Live‑1は2026年9月10日時点でAPIから今すぐ利用でき、料金は音声のフロントエンド部分のみで1分あたり0.05ドルです。これに加えて、実際の判断や会話内容の生成を担うバックエンドモデル(GPT-6 Astraなど)のトークン利用料が別途かかる仕組みになっています。
比較として、前世代の「GPT-Realtime-2.1」はトークン単位の課金で、音声入力が100万トークンあたり32ドル、音声出力が同64ドルとされ、実際の利用シーンに換算すると1分あたりおおよそ0.06〜0.11ドル程度になるとする試算も見られます。GPT‑Live‑1は「1分0.05ドル」という単純な料金設計にすることで、コスト試算のしやすさを重視した形です。なお、カスタム音声を使いたい場合は、OpenAIの営業窓口に個別に問い合わせる必要があるとされています。
比較表:主要な音声AI APIとの違い
| 項目 | OpenAI GPT-Live-1 | OpenAI GPT-Realtime-2.1 | Google Gemini Live API |
|---|---|---|---|
| 方式 | 全二重(聞く・話すを同時処理) | 全二重対応だが前世代モデル | 全二重(低レイテンシ音声・映像特化) |
| 料金の考え方 | 音声レイヤーのみ1分0.05ドル+バックエンド代 | 音声トークン課金(入力32ドル/出力64ドル、100万トークンあたり) | 音声トークン課金(入力3ドル/出力12ドル、100万トークンあたり) |
| 電話対応(テレフォニー) | 標準対応 | 対応 | Vertex AI経由での対応が中心 |
| バックエンド委任 | GPT-6 Astra等に推論・ツール呼び出しを委任可能 | モデル自体が応答生成も担当 | Gemini 3.1 Flash Live等と連携 |
| 提供開始 | 2026年9月10日(API) | 従来モデル | 2026年3月26日(プレビュー) |
各社とも「聞きながら話す」全二重方式へ移行しつつありますが、OpenAIは料金体系を分単位で分かりやすくした点、Googleはトークン単位で低コストを打ち出している点に違いがあります。用途に応じた通話量やレイテンシ要件を踏まえて選ぶ必要があります。
ChatGPTアプリの音声モードとの関係
GPT‑Live‑1は、もともと2026年7月8日にChatGPTの新しい既定の音声モデルとして発表されたものです。有料プラン(Go・Plus・Pro)ではフル機能のGPT‑Live‑1が、無料プランでは軽量版の「GPT‑Live‑1 mini」が使われており、従来のStandard・Advanced Voice Modeも選択肢として残されています。つまり、ChatGPTを使っている一般ユーザーはすでにGPT‑Live‑1の音声体験に触れている可能性が高く、今回のニュースは、その裏側にある音声モデルを開発者が自分のアプリや電話窓口向けに使えるようになった、という位置づけです。
活用が始まっている企業例
OpenAIが公開した事例では、レストラン検索サービスのYelpが電話予約の応対にGPT‑Live‑1を導入し、通話対応率の改善を報告しています。語学学習アプリのSpeakは、考える間の不要な割り込みを約80%削減したとしています。カスタマーサポートAIを手がけるFinは、利用者が自然に話を止めたり方向転換したりできる点を評価しています。また、AIコーディングエージェント「Devin」を手がけるCognitionは、GPT‑Live‑1と組み合わせることで、音声で指示を出しながら離席中の作業を任せるような使い方ができるとコメントしています。
使い方の基本的な流れ
GPT‑Live‑1を使い始める基本的な流れは、まずOpenAIのAPIキーを用意し、公式ドキュメントに沿ってリアルタイムセッションを開始します。次に、音声のやり取りを担当させるGPT‑Live‑1に対し、必要に応じてバックエンドのモデル(GPT-6 Astraなど)やMCPサーバーを含む外部ツールを接続し、複雑な判断が必要な場面ではそちらに処理を委任する設計にします。話し方やトーンはシステムプロンプトで指定でき、用意された複数の音声(アクセントや言語の異なるものを含む)から選択できます。電話回線を使った音声エージェントを作る場合は、テレフォニー機能を有効にして着信・発信のフローを組み込みます。既存のSTT・LLM・TTSを個別に組み合わせて音声エージェントを自作していたチームにとっては、その構成をGPT‑Live‑1に置き換えることで、実装と保守の負担を減らせる可能性があります。
注意点・今後の展望
GPT‑Live‑1はAPIとしては2026年9月10日に提供開始されたばかりで、対応言語や音声の種類は今後数か月かけて拡充していく方針とされています。カスタム音声を使う場合は個別の申請が必要で、誰でもすぐに使えるわけではない点にも注意が必要です。また、バックエンドに接続するモデルやツールの選び方次第でコストや応答品質が変わるため、実際の通話量を踏まえた試算をしてから本番導入を検討することをおすすめします。
疑問点
Q. GPT-Live-1とは何か。
A. ChatGPTの音声会話機能を支えてきた、聞きながら話せる全二重型の音声モデルです。2026年9月10日からAPIとして提供され、開発者が自分のアプリや電話窓口に組み込めるようになりました。
Q. 料金はいくらか。
A. 音声のフロントエンド部分のみで1分あたり0.05ドルです。これに加えて、応答内容を生成するバックエンドモデルのトークン利用料が別途かかります。
Q. ChatGPTの音声モードとは違うのか。
A. ChatGPTアプリの音声機能は、2026年7月からGPT-Live-1(無料プランは軽量版のmini)が既定モデルとして使われています。今回のニュースは、その音声モデルを開発者がAPI経由で自分のサービスに組み込めるようになったという内容です。
Q. 電話(テレフォニー)にも対応しているか。
A. 対応しています。レストラン予約やカスタマーサポートなど、電話回線を使った全二重音声エージェントを構築できます。
Q. 日本語は使えるか。
A. ChatGPTアプリの音声モードは日本語を含む50以上の言語に対応してきた実績があります。API版の対応言語・音声の詳細は公式ドキュメントで随時更新される見込みです。
まとめ
OpenAIは2026年9月10日、ChatGPTの音声会話を支えてきたGPT‑Live‑1をAPIとして提供開始しました。全二重方式による自然な割り込み対応、電話回線への対応、シンプルな分単位の料金設計が特徴で、YelpやSpeak、Fin、Cognitionといった企業がすでに活用を始めています。ChatGPT利用者にとっては既になじみのある音声体験ですが、開発者にとっては、その裏側の技術を自社サービスに組み込める新しい選択肢が増えたことになります。対応言語や音声の拡充は今後も続く見込みのため、本番導入を検討する際は最新の公式情報を確認することをおすすめします。