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教育業界の生成AI活用事例|北里大学・新潟大学・立教学院・atama+【2026年8月】

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はじめに

生成AIの教育活用は、2026年に入って「個人が試しに使ってみる」段階から「大学や学習塾が組織として公式に導入する」段階へと明確に移行しています。大学では全学生・全職員を対象とした生成AIサービスの一括導入が相次ぎ、学習塾や高校教材の分野でも、生徒一人ひとりの理解度や特性に合わせた生成AI機能の実装が進んでいます。

この記事では、2025年後半から2026年にかけて発表された教育機関・教育ITベンダーの生成AI活用事例を、大学・学習塾・高校教材・学校現場の4つの場面に分けて、企業名・数値を含めてまとめます。自治体における生成AI活用については自治体の生成AI活用事例まとめでも取り上げていますが、学校現場の校務DXは教育委員会という行政組織が関わる点で、自治体DXとも重なる領域です。教育関係者の方はもちろん、生成AIの大規模導入を検討している方にも参考になるはずです。

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大学における全学的な生成AI導入事例

まず、大学全体として生成AIサービスを一括導入した事例を見ていきます。個人のリテラシーに依存した利用から、大学が契約主体となってセキュリティとガバナンスを確保したうえで全学に展開する流れが明確になっています。

北里大学|全学生・全教職員と附属3病院の医療従事者にChatGPT Eduを導入

学校法人北里研究所は2026年4月27日、北里大学の全学生約9,500人に加え、附属3病院の全医療従事者を含む教職員約6,200人を対象に、教育機関向けChatGPTプラン「ChatGPT Edu」を導入すると発表しました。北里大学は全学生約9,500人に加え、附属3病院の全医療従事者を含む教職員約6,200人を対象に「ChatGPT Edu」を導入しました。

北里大学は生命科学分野の総合大学として、教育・研究・医療の3領域を横断して生成AIを活用する「北里AI活用モデル」の構築を目指しています。生成AIを単なる業務効率化のツールとしてではなく、人間の思考力や創造力、生産性を飛躍的に拡張する知的基盤として位置づけている点が特徴で、大学だけでなく附属病院の医療現場にまで導入範囲を広げた事例として注目されます。

新潟大学|国内総合大学として先駆けてChatGPT Eduを導入

新潟大学は2025年9月1日から、OpenAI社が提供する教育機関向け生成AIサービス「ChatGPT Edu」を導入しました。10学部・約1万人の学部生を擁する総合大学での本格運用としては国内初の取り組みとされています。

導入の背景には、2025年3月に策定した「生成AI利用促進ガイドライン」や、同年5月に試験導入した履修科目レコメンドシステムなど、段階的な布石がありました。在学生を対象にした調査では、入学者の約6割が高校で生成AIを使用した経験がないことが、新潟大学が実施した調査で明らかになりました。このリテラシーの差を踏まえ、第2学期には新設科目「生成AI活用実践演習」(定員200名×2クラス)を開講するなど、教育・学生支援・業務運営・研究支援の各領域で試行的な活用を進めています。

立教学院|全専任職員にGoogle AI Pro for Educationを導入

立教学院は2026年度より、業務の高度化と生産性向上を目的として、すべての専任職員を対象に「Google AI Pro for Education(Gemini有償版)」を導入しました。国内大学における全学導入としては先駆的な取り組みと位置づけられています。

2025年度のうちに職員向けの生成AI利用ガイドラインを策定し、オンデマンド研修用の動画を作成するなど準備を重ねたうえで、情報部門内に新設した「DX推進担当」と連携しながら展開している点が特徴です。全専任職員の利活用率100%を目指すとしており、大学の事務・運営業務における生成AI活用のモデルケースとなりそうです。

学習塾・高校教材における生成AI活用事例

大学の全学導入と並行して、学習塾や高校向けのデジタル教材でも、生成AIを使った個別最適化の取り組みが進んでいます。

atama plus|AI教材への生成AI機能追加と学習塾向け新プロダクト

AI教材「atama+」を全国4,500教室以上の学習塾に提供するatama plus株式会社は、生成AIを活用した問題解説機能「AIステップ解説(β版)」を開発し、直営塾での検証を開始しました。中高生向けの数学・英語を対象に、生徒の理解度を段階的に確認しながら、わからない箇所を特定した上で丁寧な解説を行う仕組みです。

さらに2026年1月27日には、生成AIを活用した質問対応プロダクトを同年3月より学習塾向けに提供開始すると発表しました。類題の出題(数学)や添削の実施(英作文・小論文)といった機能も2026年夏に提供を予定しており、生徒の「わからない」を生成AIで解消する取り組みが段階的に広がっています。

また、入学前教育の領域でも活用が拡大しています。2026年3月2日の発表によると、AI教材「atama+」の入学前教育での活用は、立命館大学などの25大学79学部に拡大しました。2022年度の立命館大学での導入を起点に、青山学院大学・日本大学・龍谷大学・摂南大学など、理系・文系を問わず全国の国公立・私立大学で、入学後の学びに必要な基礎学力の習得支援に使われています。

リクルート|スタディサプリ高校講座に生成AI字幕機能

株式会社リクルートは2025年2月17日、オンライン学習サービス「スタディサプリ高校講座」に、生成AIを活用した字幕表示機能を追加しました。音声を文字起こしする生成AIと、独自教材のテキストデータを用いて校正する生成AIを組み合わせることで、誤字の少ない正確な字幕を講義動画に表示します。対象は「[新版]ベーシックレベル数学Ⅰ」「[新版]ベーシックレベル数学A」「ベーシックレベル情報Ⅰ」の3講座です。

学校向けの「スタディサプリ」は2024年3月時点で2,322校の高校に導入されています。字幕機能は聴覚障がいのある生徒だけでなく、通学中など周囲が騒がしい環境で視聴する生徒にも役立つとされており、先行利用した東京都立中央ろう学校の教諭からは「生徒の聴覚レベルや手話の理解度はバラバラだが、全員に共通して言えるのは字幕がないと困るということ」といったコメントも寄せられています。

学校現場・教育委員会における校務での活用実証

最後に、個々のサービス導入ではなく、学校現場の校務そのものに生成AIを組み込む実証研究の動きを紹介します。

文部科学省×Benesse・Sky|セキュアな環境での生成AIの校務利用実証研究

文部科学省は、学校および教育委員会の職員がセキュアな環境で生成AIを利用できるようにするための実証研究事業を、沖縄県石垣市・愛知県岩倉市・埼玉県新座市・兵庫県宝塚市の4地域で実施しています。ベネッセコーポレーションが石垣市・岩倉市を、Sky株式会社が新座市・宝塚市を担当し、対話型の生成AIチャットボットの構築、必要なネットワーク環境やセキュリティ対策の整備、教育委員会・教員向けの研修やサポートまでを一体的に進めています。

Sky株式会社は2025年6月16日、前年度に引き続き本事業に参画することを発表しており、単年度の実証で終わらせず、継続的に校務での生成AI活用モデルを磨き込んでいく姿勢がうかがえます。教材研究や成績処理、保護者への連絡文書の作成といった教員の日常業務の負担軽減につながる可能性があり、今後の成果報告が注目されます。

教育現場で生成AIを導入する際の留意点

教育機関で生成AIを扱う場合、一般企業以上に配慮すべき点があります。第一に、学生・生徒は未成年を含むため、個人情報や学習履歴の取り扱いについて、大学や教育委員会単位でガイドラインを整備しておく必要があります。新潟大学や立教学院が導入前にガイドライン策定や研修を行っていたように、利用開始前の準備期間を十分に確保することが、安全な全学展開の前提になります。

第二に、新潟大学の調査が示すように、入学時点での生成AIリテラシーには大きな個人差があります。生成AIを「答えをそのまま教えてくれる道具」として使ってしまうと、思考力の育成という教育本来の目的から外れてしまうおそれもあります。atama+のAIステップ解説のように、正解を提示する前に理解度を段階的に確認する設計は、この懸念に対する一つの解決策といえるでしょう。

第三に、字幕機能や校務実証研究の事例が示すとおり、生成AIの教育活用は「成績の良い生徒をさらに伸ばす」ことだけが目的ではありません。聴覚障がいのある生徒へのアクセシビリティ向上や、教員の事務負担軽減による授業準備時間の確保など、教育の公平性や持続可能性を支える技術としての側面にも注目する必要があります。

教育業界における生成AI活用のこれから

ここまで見てきた事例には、共通する傾向がいくつか見られます。一つは、北里大学・新潟大学・立教学院のように、大学が契約主体となって全学生・全職員に生成AIサービスを提供し、個人利用に依存しないガバナンス体制を構築するアプローチです。もう一つは、atama plusやリクルートのように、既存の教材・サービスに生成AI機能を組み込み、個別最適化やアクセシビリティ向上という具体的な価値に落とし込むアプローチです。そして文部科学省の実証研究のように、学校現場の校務そのものを対象に、複数年度にわたって段階的に検証を重ねる動きも出てきています。

今後は、大学間・教育委員会間での活用事例の共有が進むにつれて、どの教育機関でも再現しやすい「標準的な導入モデル」が徐々に形づくられていくと考えられます。生成AIの企業導入事例全般についてはClaude導入事例まとめでも各業界の動向を紹介していますので、あわせてご覧ください。

参考サイト

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