ChatGPTの広告について、「広告主が持っているメールアドレスや電話番号を使って、特定のユーザーに狙って広告を出せる」と米メディア404 Mediaが2026年10月15日(現地時間)に報じ、Gizmodoなど海外メディアでも大きく取り上げられています。
ポイントは次のとおりです。
- ChatGPT広告には、広告主が持つメールアドレス・電話番号・Androidの広告IDのリストをChatGPTのアカウントと照合し、一致したユーザーに広告を配信できる「カスタムオーディエンス」という機能があります(OpenAI公式ヘルプに手順が掲載されています)
- 広告主に照合結果(誰が一致したか)は表示されず、ターゲティングに使うには25,000人以上の一致が必要です。アップロードされたファイルは通常24時間以内に削除されます
- 広告主にチャット内容や名前・メールアドレスが渡ることはないとOpenAIは説明しています
- ただし、「広告のパーソナライズ」をオフにしてもカスタムオーディエンスの対象から外れるかどうかは、公式ヘルプに明記されていません
- 広告そのものを避けたい場合は、無料版の「広告なし」への切り替えか、Plus以上のプランへの変更が確実です
日本でもChatGPT広告の提供が始まっており、OpenAIは2026年8月11日に日本での展開を公式に発表しています。日本の広告主もAds Managerを利用できます。
この記事では、報道内容とOpenAIの公式ドキュメントをもとに、仕組みとユーザーが確認しておきたい設定を整理します。
何が報じられたのか
404 Mediaは、実際にChatGPTで広告キャンペーンを2つ出稿してテストした結果として、次のような点を報じました。
- 広告主は、メールアドレスや電話番号、スマートフォンの広告識別子をOpenAIにアップロードし、それをもとに広告の配信先を指定できる
- 会話の話題やキーワードを示す「コンテキストヒント」によって、特定の話題を入力している人に広告を出すこともできる(404 Mediaは「プライバシーについて調べている人」を対象にしたテスト広告を出稿)
Gizmodoによると、OpenAIは「広告主のリストに含まれているだけで広告が表示されるわけではない」「ユーザーは設定でパーソナライズ広告をオフにできる」と説明しています。
個人データを使った広告配信は、GoogleやMetaなどでは一般的な手法です。ただ、ChatGPTは悩みや仕事の相談など個人的な内容を入力することが多いサービスであり、「自分のメールアドレスや電話番号が広告の配信に使われうる」ことを知らなかったユーザーが多かったことから、注目が集まっています。
カスタムオーディエンスの仕組み(公式ヘルプより)
OpenAIのヘルプセンターには、広告主向けに「カスタムオーディエンス」の設定方法が掲載されています。概要は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 使える識別子 | メールアドレス、電話番号(国番号付き)、それらのSHA-256ハッシュ値、Google広告ID(GAID:Android端末の広告ID) |
| 使い方 | ①リストに含まれる人だけに配信(包含)②リストの人を配信対象から除外③リストの人への入札額を0.1倍〜10倍に調整 |
| 最低人数 | 包含・入札調整には一致ユーザー25,000人以上が必要(推奨は10万人以上)。25,000人未満は除外にのみ使用可 |
| 照合結果 | Ads Managerには一致した個人は表示されず、特定の個人を選ぶこともできない |
| データの保管 | アップロードされたファイルは処理後に削除(通常24時間以内) |
| 地域の制限 | EEA(欧州経済領域)とスイス向けのキャンペーンでは利用不可(パーソナライズ広告が提供されていないため) |
つまり、広告主が自社の会員リストや購入者リストなどをアップロードすると、OpenAI側でChatGPTのアカウントと照合され、一致したアカウントがその広告の配信対象になる、という仕組みです。
また開発者向けドキュメントでは、広告主に対して「広告に使う権利のあるファーストパーティデータのみをアップロードすること」「データブローカーから入手したデータはアップロードしないこと」を求めています。
1人だけを狙い撃ちすることはできない
カスタムオーディエンスには25,000人以上の一致条件があり、広告主には一致した個人が表示されません。このため、通常の利用では特定の1人だけを直接指定して広告配信することはできません。
一方で404 Mediaは、メールアドレスなどの生データ(ハッシュ化されていない値)がアップロードされた場合に、OpenAI側でどのように扱われているかまでは確認できなかったとしています。
広告主に渡る情報・渡らない情報
OpenAIの公式ヘルプ「ChatGPTでの広告」では、広告とプライバシーについて次のように説明しています。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 常に広告選定に使われる | 現在のチャットの内容、おおまかな位置情報、言語など |
| パーソナライズがオンの場合に使われる | 上記に加え、広告とのやり取り(非表示・クリックなど)、過去のチャットとメモリ |
| 広告主に渡らない | チャット、チャット履歴、メモリ、名前、メールアドレス、正確な位置情報、IPアドレス、機微な情報 |
| 広告主が受け取る | 表示回数・クリック数などの集計された、個人を特定できない成果データ |
また、18歳未満と判定されたアカウントや、健康・メンタルヘルス・政治などの機微な話題の近くには広告は表示されません。
なお、このユーザー向けヘルプには、カスタムオーディエンスのように「広告主が持つリストとアカウントを照合する」仕組みについての記載は見当たりません(2026年10月16日確認時点)。広告主向けのヘルプにしか書かれていないため、ユーザー側からは分かりにくい状態になっています。
「広告のパーソナライズ」をオフにすれば大丈夫?
ChatGPTの「設定」→「広告の管理」にある「広告のパーソナライズ」をオフにすると、過去のチャットや広告履歴、トピックが広告の選定に使われなくなります。「過去のチャットとメモリ」をオフにすれば、過去のチャットとメモリも使われなくなります。
ただし、注意点が2つあります。
- オフにしても、現在のチャットの内容に基づく広告は引き続き表示されます(公式ヘルプに明記)
- パーソナライズをオフにした場合にカスタムオーディエンス(メール・電話番号での照合)の対象から外れるのかどうかは、公式ヘルプに明記されていません。Gizmodoも、この設定で識別子によるターゲティングが止まるようには見えないと指摘しています
EEAとスイスでは「パーソナライズ広告が提供されていないため」カスタムオーディエンスが使えないとされていることから、パーソナライズ広告と関連する仕組みであることはうかがえますが、個々のユーザーの設定がどう反映されるかまでは公表されていません。
今すぐ確認しておきたい設定
気になる方は、目的に応じて次の設定を確認しておくとよいでしょう。
| やりたいこと | 方法 | 効果 |
|---|---|---|
| 広告を表示させたくない(無料のまま) | 「設定」→「広告の管理」→「広告なしにプランを変更」→「メッセージの上限を減らす」 | 広告は表示されない。ただし利用上限が下がり、画像生成やdeep researchなど一部ツールが使えなくなる |
| 広告を表示させたくない(機能も使いたい) | Plus以上にアップグレード | 広告は表示されない(Goプランは広告あり) |
| 過去の会話を広告に使われたくない | 「広告の管理」で「広告のパーソナライズ」と「過去のチャットとメモリ」をオフ | 過去のチャット・メモリ・広告履歴が使われなくなる。現在の会話に基づく広告は表示される |
| これまでの広告データを消したい | 「広告の管理」→「広告データを削除する」 | 広告の履歴とトピックを削除(完全削除まで最大30日) |
| Androidの広告IDでの照合を避けたい | Androidの「設定」→「プライバシー」→「広告」から広告IDを削除・リセット(機種により表記は異なる) | 端末の広告IDがリセット・削除される |
無料版のまま広告を消す手順や、広告なしにした場合に失う機能については、ChatGPTの広告を消す方法|無料のまま非表示にする設定と失う機能で詳しく解説しています。
ChatGPTに登録したメールアドレス・電話番号は変えるべき?
カスタムオーディエンスは、広告主が持っているリストとChatGPTアカウントの情報を照合する仕組みです。そのため、ChatGPTの登録メールアドレスを、ネット通販や会員サービスなどで使っていないアドレスにすれば、照合される可能性は下がると考えられます。ただし、公式に効果があるとされているわけではありません。
ただし、アカウントのメールアドレス変更はログイン方法などに影響する場合があり、手間もかかります。広告が気になるだけであれば、まずは上の表の「広告なし」への切り替えやPlusへの変更を検討するほうが現実的です。
会社・業務で使っている場合
Business、Enterprise、EduなどのプランやPlus・Proには広告は表示されません。業務でChatGPTを使う場合は、広告の有無だけでなく、入力データの学習利用や管理機能の観点からも、法人向けプランを利用するのが基本です。
社員が個人の無料アカウントで業務利用している場合、会話内容に応じた広告が表示されるほか、仕事用のメールアドレスで登録していればカスタムオーディエンスの照合対象にもなりえます。社内ルールの見直しのきっかけにするとよいでしょう。
まとめ
- ChatGPT広告には、広告主が持つメールアドレス・電話番号・Android広告IDのリストとアカウントを照合して配信する「カスタムオーディエンス」機能があります
- 25,000人以上の一致が必要で、広告主には誰が一致したかは表示されず、チャット内容や個人情報も渡らないとOpenAIは説明しています
- 「広告のパーソナライズ」をオフにしても、現在の会話に基づく広告は表示されます。カスタムオーディエンスとの関係は公式には明記されていません
- 確実に広告を避けたいなら、無料版の「広告なし」への切り替えかPlus以上への変更が必要です
- 業務利用では、広告が表示されない法人向けプランを選ぶのが基本です
OpenAIは広告事業を拡大しており、今後もターゲティングや広告形式が変わる可能性があります。新しい情報が出た場合は、この記事も更新します。
参考・引用元
- OpenAIヘルプセンター「Set up Custom Audiences for your Campaign」
- OpenAI Developers「Custom audiences」
- OpenAIヘルプセンター「ChatGPT での広告」
- OpenAIヘルプセンター「ChatGPT における広告の基本」
- OpenAIヘルプセンター「Ads Manager Availability」
- OpenAI「A milestone in expanding access to AI」(2026年8月31日)
- 404 Media「How ChatGPT Targets Ads To You Based On Your Prompts, Phone Number, and Email」
- Gizmodo「Here’s How ChatGPT Is Targeting You With Ads」